ノルベルト・ハウプトマン

シューベルト/八重奏曲ヘ長調
CD(DENON COCO-70796)

シューベルト/八重奏曲ヘ長調Op166、D803
   〜2つのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、
    コントラバス、クラリネット、ホルンと
    ファゴットのための

 フィルハーモニア・アンサンブル・ベルリン
 エドワルド・ジェンコフスキー(ヴァイオリン)
 ライナー・ヴォルタース(ヴァイオリン)
 土屋 邦雄(ヴィオラ)
 ネラ・ハンキンス(チェロ)
 エスコ・ライネ(コントラバス)
 アロイス・ブラントホーファー(クラリネット)
 ノルベルト・ハウプトマン(ホルン)
 ダニエーレ・ダミアーノ(ファゴット) 
 録音 1988年9月5〜9日
    ベルリン/ジーメンス・ヴィラ

 フィルハーモニア・アンサンブル・ベルリンによるシューベルトの演奏です。
 シューベルトの八重奏曲は演奏に1時間もかかる大曲で室内アンサンブルのための交響曲といえます。1824年に書かれており「未完成」と「ザ・グレート」の間になります。シューベルトはホルンを大切にした曲が多いのですが、この曲にも重要なメロディーを吹かせています。
 第1楽章は前奏のアダージョから緻密なアンサンブが聞かれます。続くアレグロでは素晴らしいアンサンブルが聞かれます。ジェンコフスキーのヴァイオリンとシブラントホーファーのクラリネットが良い響きで歌います。続くハウプトマンのホルンが大変よい響きで流麗な演奏をしています。このアンサンブルはまさにベルリン・フィルの縮図といえる素晴らしい演奏を聞かせてくれます。この楽章では同じ音型が楽器を変えてなんども繰り返されます。コーダはファゴットに始まって主題が各楽器に受け継がれながらホルンのソロで終わります。第2楽章:アダージョはクラリネットで始まる穏やかな雰囲気がきれいです。そしてクラリネットとヴァイオリンの対話がまた美しいです。中間部では緻密なアンサンブルが素晴らしい。ハウプトマンのホルンとジェンコフスキーのヴァイオリンとの対話がまたきれいです。
 第3楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェは快活なスケルツォですジェンコフスキーのリードするアンサンブルの見事な演奏はこの楽章の美しさを改めて感じます。ユニゾーンの響きがきれいです。トリオも素晴らしい演奏です。第4楽章:アンダンテは主題と7つの変奏曲、「ロザムンデ」の間奏曲を思わせるような主題に始まります。クラリネットとヴァイオリンの変奏が素晴らしい響きです。クラリネット、ファゴットとホルンの変奏も絶妙です。ハウプトマンの吹くホルンの変奏がとても流麗で、絡むヴァイオリンもまた良い響きです。続くチェロの変奏も絶妙です。変化に富んだ7つの変奏曲は名作といえましょう。
 第5楽章:メヌエットはこの曲の中でも最も美しいといえる楽章です。クラリネットの美しい主題が流麗に歌われ弦楽器、ホルンに受け継がれていきます。クラリネット、ファゴット、弦楽器のユニゾーンの美しい響きもあって、優雅なメヌエットです。第6楽章:アンダンテ・モルト〜アレグロはシューベルトの音楽の美しさがあります。劇的な前奏に続くアレグロはオーケストラのような素晴らしいアンサンブルでまとめています。これはまさにベルリン・フィルのシューベルトです。演奏時間61分10秒。


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