クリストフ・エス
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CD(SONY CLASSICAL 19075929662)
古典派の協奏曲集
1.ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲ハ長調WoO5
〜第1楽章(ヘルメスベルガー補筆完成版)
2.ヴラニツキー/2つのヴィオラのための
協奏曲ハ長調
3.ライヒャ/ホルン協奏曲ト長調
4.ヴォジーシェク/ピアノ、ヴァイオリン、
チェロのための協奏的大ロンド Op25
サラ・クリスティアン(ヴァイオリン)(1&4)
ニルス・メンケマイヤー(ヴィオラ)(2)
テレサ・シュヴァム(ヴィオラ)(2)
クリストフ・エス(ホルン)(3)
ヤアラ・タール(ピアノ)(4)
シュテファン・コンツ(チェロ)(4)
ラインハルト・ゲーベル指揮
ミュンヘン放送管弦楽団
録音 2019年9月20〜25日
ミュンヘン、バイエルン放送第1スタジオ
ラインハルト・ゲーベル指揮による珍しいベートーヴェンと同時代の古典派作曲家による協奏作品です。
ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲ハ長調WoO.5は、1790年にベートーヴェンがまだ19歳の時に初めて書いたヴァイオリン協奏曲でした。未完の第1楽章「アレグロ・コン・ブリオ」のみ残されていましたが、ここではヨーゼフ・ヘルメスベルガーが補筆完成した版を演奏しています。サラ・クリスティアンのヴァイオリン独奏による演奏は、ベートーヴェンの音楽を実に音楽性豊かに表現しています。ゲーベルの素晴らしい指揮も見逃せないです。15分を超える作品ですから、完成された作品といってもよい協奏曲です。素晴らしい演奏です。
アントニン・ヴラニツキー(1761-1820)は、モラヴィア出身のヴァイオリニストで作曲家です。2つのヴィオラのための協奏曲ハ長調は1805年に書かれた作品。3つの楽章で構成されています。第1楽章はモーツァルトのような主題の序奏で始まります。ヴィオラの主題も同じように始まります。ヴァイオリンよりも太い音質のヴィオラ2本で演奏というのは珍しいと思います。しかしながら深みのある響きもまた魅力です。第2楽章「ロマンス」は2つのヴィオラが良い和音を奏でながら演奏しています。カデンツァも2つのヴィオラがよい響きを出しています。第3楽章のロンドは力強いオーケストラをバックに深みのある低音を響かせながら2つのヴィオラが歌うのが印象的です。
アントン・ライヒャのホルン協奏曲ト長調は1823年に書かれています。ナチュラルホルンのために書かれていますが、クリストフ・エスは現代のホルンで演奏しています。作品は単一楽章で、序奏のレント、そしてロンドはアレグレットになります。序奏は高度なテクニックを要するフレーズが多いです。ロンドの前に短いカデンツァが入ります。ロンドは装飾音が入ってナチュラルホルンでは難しそうですがクリストフ・エスは難なく演奏しています。ライヒャのホルン作品はアンサンブルが多いのですが、ホルン協奏曲も名作です。これが世界初の録音になります。
ヤン・ヴァーツラフ・ヴォジーシェク(1791-1821)はボヘミア出身の作曲家です。ピアノ、ヴァイオリンとチェロのための協奏的大ロンドはトリプル・コンチェルトになります。1820年に書かれています。作風はシューベルト的でロマン派らしい美しさがあります。作品は美しい序奏と華やかなロンドになっています。ピアノが良い響きを出しています。そしてヴァイオリンとチェロが華やかな響きを出して演奏しています。 |
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