ハビエル・ボネ

コロメル/ホルン協奏曲「ナチュラエザ・ヒューマナ(人間の本質)」
CD(Verso VRS 2154)

ファン・コロメル/金管楽器のための協奏曲集
1.ヴィニェタス・シンフォニカス(2001)
  〜トランペットとオーケストラのための
2.ナチュラエザ・ヒューマナ(人間の本質)(2004)
   〜ホルンと管弦楽のための
3.ラ・デヴォタ・ラシヴァ(2004)
  〜金管五重奏と管弦楽のための

 ルイス・ゴンサレス(トランペット)(1)
 ハビエル・ボネ(ホルン)(2)
 カルロス・ベネト(トランペット)(3)
 ファンホ・セルナ(トランペット)(3)
 マヌエル・ペレス(ホルン)(3)
 インダレシオ・ボネ(トロンボーン)(3)
 セルヒオ・フィンカ(テューバ)(3)
 ホセ・ルイス・エステレス指揮
 オルケスタ・シウダー・デ・グラナダ
 録音 2014年5月

 ファン・J.コロメル(1966〜)はスペインの作曲家です。グラナダのオーケストラによる演奏です。 
 「ヴィニェタス・シンフォニカス」は2001年に書かれたトランペット協奏曲です。3つの楽章で構成され、第1楽章「モデラート」は穏やかな序奏で始まり、大変きれいなトランペットのソロが物語風に歌われます。現代風の作品ながら力みのない良い響きが聴かれます。第2楽章「アンダンテ」は抒情的なトランペットのソロに始まり、美しい響きが流れます。またヴァイオリンのソロも入ります。第3楽章「モルト・アレグロ」は弦楽のざわめきのあとにトランペットのソロが入ります。フラッタータンギングも使います。素晴らしい作品と演奏です。
 ナチュラエザ・ヒューマナ(人間の本質)は2004年に書かれたホルンと管弦楽のための協奏曲です。ハビエル・ボネがホルンを吹いています。第1楽章「熱狂的な」はホルンが高音域を激しく演奏するところがあります。熱い感情をこめているような音楽にも思えます。ボネの表現力の豊かさが素晴らしいです。オーケストラのホルンの響きも印象的です。第2楽章「空虚」は虚しさを感じさせるホルンのソロに始まります。穏やかにその気持ちを歌っています。第3楽章「悪魔祓い」はパーカッションがお祓いをしているかのようです。ホルンは激しくメロディを歌います。大変力の入る協奏曲です。ハビエル・ボネの名演奏が素晴らしいです。
 「ラ・デヴォタ・ラシヴァ」は2004年に書かれた金管五重奏と管弦楽のための協奏曲です。3つの楽章で構成され、第1楽章「Deambular(さまよい)」は金管五重奏による語り合いともいえるアンサンブルとオーケストラによる演奏で、これも情景を感じさせる音楽です。ソロ楽器が多彩で賑やかです。トランペットやホルンの難しいフレーズがどんどん出てきます。テューバの存在感は大きいです。第2楽章「Descubrir(発見する)」はオーケストラが重々しく始まり、やがて穏やかに金管五重奏が加わります。そして「見つけた!」というような叫びが聞こえます。トランペットの美しい響きが素晴らしいです。そしてホルン、トロンボーンとテューバが語りかけます。第3楽章「Destapar(明らか)」は冒頭から金管五重奏の元気な響きが流れます。その明るい響きは素晴らしいものです。ソロ楽器が次々に変わります。楽しい楽章です。
 このアルバムはコロメルが金管楽器のために書いた協奏曲集です。聴いて楽しくなります。演奏も素晴らしいものです。(2014年スペイン盤)


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