ハビエル・ボネ
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CD(Ibs Classical IBS122021)
新たな道〜ホルンとピアノのための21世紀音楽
1.フォルト/カントゥス・ホルン
2.ブロトンス/序奏とギャロップ Op.148
3.カーノ/翼のあるホルンのティエントス Op.93
4.コロメル/月のない海
5.ブスタマンテ/ゲーム「トカーティコ・トカータ」
6.タランテ/エレジー
7.J.L.トゥリーナ/コンソレーション
ハビエル・ボネ(ホルン)
ミリアム・ゴメス=モラン(ピアノ)
録音 2020年11月30日〜12月2日
スペインの名ホルン奏者ハビエル・ボネと、ミリアム・ゴメス=モランが演奏する、21世紀に書かれたホルンとピアノのための音楽集です。
フランシスコ・サカレス・フォルト(1962〜)の「カントゥス・ホルン」はエドモン・コステールが提唱した「親和性概念」と呼ばれるシステムを用いたという作品ということですが、ピアノのきらめきと共に、明るい響きのホルンが始まります。ホルンが叫ぶような響きもあります。物語風の語りまで感じられる作品です。ボネのホルン演奏、ゴメス=モランのピアノ演奏どちらも素晴らしいです。
サルバドール・ブロトンス(1959〜)の「序奏とギャロップ」は2018年の作品です。序奏は穏やかな演奏と対話です。「ギャロップ」は速いテンポでかけっこのようにホルンとピアノが絡み合いながら演奏します。ボネのホルン奏者としての生きざまを歌うような見事な演奏です。
セザール・カーノ(1960〜)の「翼のあるホルンのティエントス」はスペインの詩人ドン・フランシスコ・デ・パディージャの詩に触発された曲。「ティエント1」「ティエント2」「ティエント3」の3曲からなる組曲です。「ティエント1」はホルン独奏で始まって、途中からピアノが入ります。大変快活な主題で飛ぶようなホルンのイメージでしょうか。「ティエント2」は穏やかなテンポの演奏です。ピアノとホルンの対話がきれいです。「ティエント3」は速いテンポで勢いのある演奏です。ゲシュトップ奏法も使う見事なホルンです。
フアン・ホセ・コロメル(1966〜)の「月のない海」は自死という悲劇的なテーマを扱った曲で、ハビエル・ボネの息子シルベストルのオマージュとして書かれました。悲しみを歌うホルンは、空の暗さと共に。心にも闇がありそうで、気持ちが分かります。涙なくして聴けそうもない曲です。後半には嘆きのようなホルンの叫びがあります。
ミゲル・ブスタマンテ(1948〜)ゲーム「トカーティコ・トカータ」は2018年の作品です。動きのある主題の連続です。ホルンとピアノがゲームをするかのように興奮したり、穏やかになったりの楽しい作品です。最後は追いかけるように終わります。
ミゲル・アンヘル・タランテ(1946〜)の「エレジー」はハビエル・ボネの息子シルベストルの思い出に書かれた作品です。悲しみの歌が流れます。ホルンほど嘆きの歌が感じられる楽器はないかもしれません。聞くほどに涙が出そうです。ボネの表現力の素晴らしいこと、絶品の演奏です。
ホセ・ルイス・トゥリーナ(1952〜)の「コンソレーション(慰め)」はこのアルバムの最後を飾るにふさわしい作品です。ボネのホルンは元気に、そして穏やかに、歯切れよく、様々なテクニックを使いながらこの作品の演奏をしています。ピアノもまたきれいな演奏です。
このアルバムは、まさに「新たな道」を行くような人生を感じさせるものです、素晴らしい演奏です。 |
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