福川 伸陽

シューマン/ピアノ五重奏曲/ブラームス/ピアノ四重奏曲第1番
CD(CRYSTON OVCC-00154)

1.シューマン/ピアノ五重奏曲変ホ長調Op44
     (ピアノと木管五重奏のための六重奏版)
2.ブラームス/ピアノ四重奏曲第1番ト短調Op25
     (ピアノと木管五重奏のための六重奏版)

  東京六人組
  上野 由恵(フルート)(洗足学園音大講師)
  荒 絵理子(オーボエ)(東京交響楽団首席)
  金子 平(クラリネット)(読響首席)
  福士 マリ子(ファゴット)(東京交響楽団首席)
  福川 伸陽(ホルン)(NHK交響楽団首席)
  三浦 友理枝(ピアノ)
  録音 2019年5月15〜17日
   埼玉、富士見市民文化会館(キラリ富士見)

 シューマンのピアノ五重奏曲を東京六人組がピアノと木管五重奏のための六重奏版に編曲しました。オリジナルとは異なる響きになりますがこれも立派なシューマンです。第1楽章:アレグロ・ブリランテ、第2楽章:行進曲風に(ウン・ポコ・ラルガメンテ)、第3楽章:スケルツォ:モルト・ヴィヴァーチェ、第4楽章:アレグロ・マ・ノン・トロッポの4つの楽章で構成されています。スケルツォの響きは素晴らしいものでオリジナルでは味わえそうもないでしょう、第4楽章は原曲ではピアノが圧倒的な響きですが、この編曲ではピアノを木管五重奏が圧倒しています。素晴らしい演奏です。
 ブラームスのピアノ四重奏曲第1番はサミュエル・バロンがピアノと木管五重奏のための六重奏版に編曲しました。この作品にはシェーンベルクのオーケストラ編曲版もあります。それはピアノと弦楽三重奏ではピアノが強いこともあるでしょう。このアレンジでは第1楽章のアレグロから対等な響きになっています。ホルンの存在感は大きいです。シンフォニックな響きが素晴らしいです。第2楽章の間奏曲では管楽器とピアノの融合ともいえる新しい響きが聞こえます。管楽器のセレナードにピアノが加わるような響きです。第3楽章のアンダンテ・コン・モトは冒頭からホルンの響きが圧倒てきです。この楽章は木管五重奏の圧倒的な演奏が、新しいブラームスの響きを作りだしたといえそうです。第4楽章はジプシー風ロンドのプレスト、これは驚きの演奏です。弦楽のパートを木管が演奏しています。ピアノの超絶技巧はともかく木管の超絶技巧は素晴らしいです。まさに新しい作品が登場したといってもよいほど素晴らしい名演です。絶賛したいです。


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