福川 伸陽

東京六人組/ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら
CD(CRYSTON OVCC-00140)

1.トゥイレ/ピアノと管楽五重奏のための
             六重奏曲変ロ長調Op6
2.ブラームス/ハンガリー舞曲第1番ト短調
               (岩崎一志編)
3.   〃  /ハンガリー舞曲第5番ト短調
               (岩崎一志編)
4.   〃  /ハンガリー舞曲第6番ニ長調
               (岩崎一志編)
5.R・シュトラウス/ティル・オイレンシュピーゲルの
           愉快ないたずら(カープ編)
6.モーツァルト/トルコ行進曲(磯部周平編)

  東京六人組
  上野 由恵(フルート)(洗足学園音大講師)
  荒 絵理子(オーボエ)(東京交響楽団首席)
  金子 平(クラリネット)(読響首席)
  福士 マリ子(ファゴット)(東京交響楽団首席)
  福川 伸陽(ホルン)(NHK交響楽団首席)
  三浦 友理枝(ピアノ)
  録音 2017年7月5〜7日
     戸塚、さくらプラザ

 東京六人組のセカンドアルバムはトゥイレの六重奏曲や名曲「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」などです。
 ルートヴィヒ・トゥイレ(1861〜1907)はオーストリア出身。「ピアノと管楽五重奏のための六重奏曲」は1888年に書かれた彼の代表作。4つの楽章で構成されています。第1楽章「アレグロ・モデラート」は管楽器の響きの良さが際立っています。ホルンの主題も滑らかです。木管のユニゾーンがきれいです。また各楽器のソロがきれいに響きます。第2楽章「ラルゲット」では冒頭のホルンの美しい響きが素晴らしい。木管は和音の美しさがあります。ホルンのソロが何度も聴かれます。
第3楽章の「ガヴォット」はオーボエに始まり木管に受け継がれていきます。ピアノと木管の楽しさあふれる演奏が聞かれます。第4楽章のヴィヴァーチェはピアノ、木管とホルンが流麗な演奏をしています。この楽章も明るい響きで楽しそうです。
 ブラームスのハンガリー舞曲は岩崎一志の編曲によるピアノと管楽五重奏のための六重奏版です。ハンガリー舞曲第1番は管楽器とピアノの絶妙な演奏で、ピアノの連弾とオーケストラ版を同時にきいているかのようです。
 ハンガリー舞曲第5番はテンポの動かし方が絶妙です。そして少し長めの間の取り方が見事で乱れのない演奏には感服しました。
 ハンガリー舞曲第6番はテンポの動かし方が難しいですが、体を動かしながら演奏する木管楽器は合わせやすいのかもしれません。この演奏は抜群のアンサンブルで素晴らしいです。
 R・シュトラウスの「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」はの室内楽版といえばハーゼンエールの短縮版が有名ですが、このカープの編曲はピアノと木管五重奏のために編曲されていて全曲が演奏されます。編曲の面白いところは管楽器のソロはそのまま生かして金管や弦楽器のパートをピアノがほとんど受け持っていることでしょう。そのためホルンやクラリネットのソロは原曲通りに演奏されています。オーボエ、フルート、ファゴットのソロも原曲と同じように聞こえてきます。聞いていて大変楽しく、しかも緊張感のあふれる演奏となっています。全合奏の響きも実によい響きになっています。福川がホルンの全パートを演奏するこの「ティル」は絶賛ものです。コーダのクラリネットの叫びには感動です。
 モーツァルトのトルコ行進曲は磯部周平の編曲でピアノと木管五重奏のために編曲されています。磯部の編曲では後半にオリジナルではない主題が聞こえてきます。ホルン協奏曲、ファゴット協奏曲、クラリネット協奏曲のフレーズから、なんとベートーヴェンのトルコ行進曲まで飛び出すとは拍手喝采です。
 このアルバムは絶賛したいです。


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