ローラント・ホルヴァート

ホルン/好奇心/J・シュトラウス/ロマンス第2番「甘い涙」他
CD(ARICORD CDA-29610)

 ホルン/好奇心
1.フリューハウフ/デュオからトリオへ
  〜モーツァルトのデュオK487より
  (ヴァイオリン、ホルンとチェロのための)
  01)アレグロ  02)メヌエット 
  03アダージョ 04)ポロネーズ 
2.モーツァルト/ロバさん
  〜ホルンとヴィオラのための  
  (4つのホルン協奏曲のアレグロ)
3.ハイドン〜シャントル編/皇帝
  〜ヴァイオリンとホルンのための
4.バッハ〜グノー/アヴェ・マリア
  〜ホルンとチェロのための
5.メンデルスゾーン/夜想曲Op61
  〜ホルンとピアノのための
6.J・シュトラウス/ロマンス第2番「甘い涙」
  〜ホルンとオルガンのための
7.J・シュトラウス/舟歌〜「ヴェネツィアの一夜」から
 〜ホルン、ヴァイオリン、ヴィオラとチェロのための
8.D・アンゲラー/熱風Op36
 〜ホルン、ヴァイオリン、ヴィオラとチェロのための
9.ホルヴァート/結婚式の願い
  〜ホルンとコントラバスのための
10.フリューハウフ/誕生日の願い
  〜2つのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、
  コントラバスと2つのホルンのための
11.シュティーグラー/聖フーベルト・ミサより
   「サンクトゥス」〜ホルンとチェロのための
12.コンラート・ミュザレク/
   ホルンと2つのギターのためのソナタOp92
13.ブレヒンガー/3つの小品Op70
       〜ホルンとピアノのための
14.ブレヒンガー/バガテルOp75
       〜ホルンとピアノのための
15.ブレヒンガー/嵐のあとの澄んだ夜Op44
       〜ホルンとピアノのための

ヘルベルト・フリューハウフ(ヴァイオリン)(1)
ローラント・ホルヴァート(ウィンナホルン)(1〜15)
ノルベルト・フリューハウフ(チェロ)(1)
マルティン・レンベルク(ヴィオラ)(2)
ライムント・リッシー(ヴァイオリン)(3&10)
フリードリヒ・ドレツァル(チェロ)(4&11)
ウェルナー・ペリンカ(ピアノ)(5)
マルギット・フッシー(オルガン)(6)
アレクサンダー・シュタインベルガー(ヴァイオリン)
               (7、8&10)
グレゴリー・ロジャース(ヴィオラ)(7、8&10)
チャバ・ボルネミシャ(チェロ)(7、8&10)
ミラン・シャガト(コントラバス)(9&10)
ウォルフガング・リントナー(ウィンナホルン)(10)
エーヴァルト・フェルバー(ギター)(12)
ウォルフガング・チェルベア(ギター)(12)
アレクサンダー・ブレヒンガー(ピアノ)(13〜15) 
  録音 1995〜2000年頃

 ホルヴァートらしい面白い企画のアルバムです。聴きなれた作品がこのように面白いアレンジで演奏されると楽しいものです。
 フリューハウフの「デュオからトリオへ」はモーツァルトの2つのホルンのためのデュオK487から4曲をヴァイオリン、ホルンとチェロのために編曲したものです。二重奏を三重奏に編曲とは面白いです。初めて聴いたときはホルンのデュオとすぐに分かりましたが、チェロとヴァイオリンが入るとは思いませんからびっくりです。なおホルヴァートは全12曲をホルンとチェロのデュオでも録音していました。
 モーツァルトの「ロバさん」というのはホルン協奏曲を献呈したロイトゲープのことを親しみをこめて読んだ愛称でした。この曲はホルンとヴィオラのための編曲で、4つのホルン協奏曲のロンドとアレグロをつないだものです。第1番のロンドに始まって、第2番、第1番に戻ってから第4番のロンド、第3番のアレグロ、第4番、第2番のフレーズをはさむ凝ったものです。ホルヴァートのアレンジのようです。
 ハイドンの作品は弦楽四重奏曲「皇帝」からシャントルがヴァイオリンとホルンのために編曲した「皇帝」のおなじみの主題です。ポコ・アダージョ、カンターピレとアレグロの部分になっています。
 バッハ〜グノー編曲の「アヴェ・マリア」はバッハの平均律のプレリュードにグノーがメロディを付けた名曲です。これをホルンとチェロのデュオで演奏しています。なおホルヴァートはこの「アヴェ・マリア」をホルンとハープの演奏でも録音しています。
 メンデルスゾーンの「夜想曲」は「真夏の夜の夢」Op61の「夜想曲」でホルンの美しい主題が有名です。これをホルンとピアノで演奏しています。大変美しいホルンです。ウィンナホルンがよく合う曲です。
 ヨハン・シュトラウス二世のロマンス第2番「甘い涙」はチェロのための作品ですがこれをホルンとオルガンで演奏しています。オルガンがバックに入ると荘重な響きになります。それだけにウィンナホルンの甘い響きがロマンスによく合います。
 ヨハン・シュトラウス二世の「舟歌」はオペレッタ「ヴェネツィアの一夜」からの1曲です。これをホルン、ヴァイオリン、ヴィオラとチェロの四重奏にアレンジして演奏しています。ゴンドラに乗って歌っているかのようです。
 ディーター・アンゲラーの「熱風Op36」はホルン、ヴァイオリン、ヴィオラとチェロのための四重奏曲です。これはホルン四重奏曲からの編曲です。ホルンは低音を多用するのが面白いところです。ハイトーンが出てきそうですが出ませんでした。
 ホルヴァートの「結婚式の願い」はホルンとコントラバスのためにホルヴァートが編曲したものです。ワーグナーの「ローエングリン」の結婚行進曲をもとにしています。後半ではロンド風にアレンジしているところが面白いです。そこに突然「アイーダの行進曲」が入ります。
 フリューハウフの「誕生日の願い」はいわゆる「ハッピーバースデイ」の歌のアレンジです。2つのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスと2つのホルンで演奏しています。凝ったアレンジです。
 カール・シュティーグラーの「聖フーベルト・ミサ」はホルン・アンサンブルの作品ですが、その中の「サンクトゥス」をホルンとチェロで演奏しています。ホルンが主題を吹いたり、チェロが主題を弾いたりとこれも面白いアレンジです。
 コンラート・ミュザレクの「ホルンと2つのギターのためのソナタOp92」はオリジナルの作品。ギターは伴奏だけでなく、打楽器としてボディを叩く面白い趣向もあってユニークな作品です。現代的な響きです。単一楽章ですが、3つの部分に分かれています。10分あまりの作品です。
 アレクサンダー・ブレヒンガーの「3つの小品Op70」はホルンとピアノのための作品です。3つの小品では第1曲「モルト・ヴィバーチェ」が楽しく聴かれます。第2曲、第3曲と短い小品ながらもよくできた作品でホルンが素晴らしい響きを出しています。
 ブレヒンガーの「バガテルOp75」もホルンとピアノのための作品。3つの小品で構成されています。「ジョコーソ」「重厚に」「ヴィヴァーチェ」の3曲です。第2曲はゆったりと低音を重々しく演奏しています。この作品もホルンの作品として魅力のあるものです。
 ブレヒンガーの「嵐のあとの澄んだ夜Op44」もホルンとピアノのための作品。こちらは3分あまりの作品です。嵐の後の穏やか夜には空にきらめく星が見えそうで、その期待を込めたような美しい作品です。ホルヴァートのホルンが素晴らしい響きです。


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