シュテファン・ドール

ウォルフガング・リーム/ホルン協奏曲
CDR(The Uphill Road URC-0343/4)

1.ドヴォルザーク/交響詩「野ばと」Op110
2.ウォルフガング・リーム/ホルン協奏曲(2014)
3.ドヴォルザーク/交響曲第9番
  ホ短調Op95「新世界より」

  シュテファン・ドール(ホルン)(2)
  ダニエル・ハーディング指揮
   マーラー・チェンバー・オーケストラ
  録音 2014年8月19日
   ルツェルン音楽祭ライヴ

 このアルバムは2014年にルツェルンで演奏したライヴ録音です。ドヴォルザークの2作品とウォルフガング・リームのホルン協奏曲が収録されています。
 ドヴォルザークの交響詩「野ばと」はエルベンの詩による四部作の最後の作品。悲劇的な物語で音楽もその流れに沿ったものです。よい響き、そして良い演奏です。
 ウォルフガング・リーム(1952〜)のホルン協奏曲は2013〜14年にシュテファン・ドールのために書かれており、この演奏は初演と思われます。現代作品でありますが序奏とあとにホルンのソロがアダージョ風に朗々と歌われます。ハイトーンが多く、ゲシュトップも使われます。前半は緊張感のある音楽です。中間部にオーケストラの間奏があります。後半にはカデンツァがあって、ようやく中低音を吹きますがその低音が弱奏で吹かれています。コーダになるとようやく動きのある主題が演奏されます。これほど演奏困難な協奏曲はないかもしれません。音程が取りにくく、しかもハイトーンが多い作品です。結尾は静かに終わります。ドールの名演には脱帽です。
 ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」はハーディングの指揮です。第1楽章の序奏ではティンパニの響きが素晴らしい。夜明けのシーンも良い響き、提示部のホルンの主題がきれいです。提示部のリピートがあります。木管楽器の響きがきれいですが、編成が小さいためか弦楽の響きが若干弱いようです。第2楽章のラルゴはコールアングレの主題がやや速めの演奏になっています。木管楽器で歌われる中間部の美しさは聴きどころです。後半弦楽四重奏になるところはゆったりと間をおいて演奏しています。第3楽章は速いテンポで進みます。トリオの木管楽器がきれいです。第4楽章は良いテンポの演奏で厚みもあります。中間部のホルンが良い響きになっています。第2楽章の主題が出てくると盛り上がってきます。214小節のメノ・モッソの前に間をしっかりおくところが印象的です。コーダの迫力は見事で、最後のフェルマータはしっかりしっかり伸ばしています。そのあとに間をおいて拍手になるところは素晴らしい。


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