林 伸行
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CD(WAKO WKCD-0083)
1.シュノック/5つのホルンのための
古い民謡による楽しいソナタ
2.ウーバー/3つのホルンのための組曲Op28
3.モーツァルト/ディヴェルティメント
変ロ長調K439b第2番
4.ミツシン/4本のホルンのための
コンチェルティーノ
5.アントン・リヒター/4本のホルンのための
6つの小品より第1、第3、第5&第6曲
6.ヒンデミット/4本のホルンのためのソナタ
7.シュティーグラー/聖フーベルト・ミサ
シンフォニア・ホルニステン
林 伸行(ホルン)(九州交響楽団)(1、4〜7)
広川 実 (ホルン)(フリーランス)(1〜3、6&7)
水無瀬一成(ホルン)(京都市交響楽団)(1〜5&7)
須田 一之(ホルン)(仙台フィル首席)(1〜7)
小椋 順二(ホルン)(京都市交響楽団)(1、4〜7)
録音 2011年5月30日〜6月3日
京都市右京ふれあい文化会館
シンフォニア・ホルニステン3作目のアルバムはこれぞホルン・アンサンブルというメッセージを込めた重量級のものとなりました。
ギュンター・シュノック(1934〜1990)はドイツのホルン奏者で作曲も手がけました。「5つのホルンのための古い民謡による楽しいソナタ」は第1曲:序曲「愛の勝利」、第2曲:変奏曲「私のすべての考え」、第3曲:終曲「愛は大いなる喜びをもたらす」の3つの楽章で構成されています。第1曲はファンファーレのようでもあります。第2曲は変奏曲ですが主題になる民謡が穏やかな歌で緩徐楽章のようです。第3曲:フィナーレは喜びに満ちた歌で5本のホルン・アンサンブルも楽しそうです。5つのホルンが解け合う見事な響きが聞かれます。
デイヴィッド・ウーバー(1921〜2007)はアメリカの作曲家、「3つのホルンのための組曲」は1983年の作で、4つの小品で構成され、第1曲「お告げの祈り」、第2曲「祝祭」、第3曲「夢・間奏曲」、第4曲「終曲・舞曲」となっています。第1曲「お告げの祈り」は学校の授業開始の合図でおなじみの音楽で始まりますので面白いです。序奏のあとはテンポアップします。第2曲、第3曲、第4曲と現代作品とは思えないロマンティックな響きが流れます。3本のホルンが解け合うと4本では聞かれない美しい響きがあります。
モーツァルトの「ディヴェルティメント変ロ長調K439b(K追加229)」は2本のバセットホルンとファゴットのための大作「5つのディヴェルティメント変ロ長調K追加229(K439b)」の中の第2番にあたります。このディヴェルティメントは全体が25の楽章で構成されますが、5つの楽章ずつ第1番から第5番まで分けられます。この録音は第2番になります。第1楽章冒頭の主題がクラリネット協奏曲K622の第1楽章の主題にそっくりです。モーツァルトはバセットホルンやバセットクラリネットのために作品を残していますが、これをホルンで吹くのは珍しいと思います。変ロ長調は吹きやすいようです。やはりモーツァルトの響きは美しいものです。
アレクサンドル・ミツシン(1850〜1920)の「4本のホルンのためのコンチェルティーノ」は古くから演奏されるホルン・アンサンブル作品のひとつです。ロシアの作曲家らしくロシア民謡調の主題が美しい作品です。3つの楽章で構成されます。
アントン・リヒター(1802〜1854)の「4本のホルンのための6つの小品」から第1、第3、第5、第6曲の4曲が演奏されています。1832年の作品で和音の美しさが素晴らしいです。低音が活き活きしています。ホルンアンサンブルの醍醐味を感じます。
パウル・ヒンデミット(1895〜1963)の「4本のホルンのためのソナタ」は1952年の作品で、ホルン・アンサンブルのレパートリーとして重要な作品です。ヒンデミットのホルン協奏曲と同様に第1楽章と第2楽章は短く、第3楽章は長い演奏時間を要します。第2楽章「活き活きと」はこの作品の聞き所でしょう。この演奏では4本のホルンの調和が素晴らしい。第3楽章の雰囲気はホルン協奏曲の第3楽章とも通じる雰囲気が感じられます。
カール・シュティーグラー(1876〜1932)の「聖フーベルト・ミサ」は数ある「聖フーベルト・ミサ」の代表でしょう。ウィンナホルンの父といわれたシュティーグラーがホルンアンサンブルのために書いたこの作品は8つの小品からなる組曲です。ホルンの充実した響きはオルガンのようで、ブルックナーを何度も演奏したと思われるシュティーグラーならではの音作りです。第2曲「グローリア」はまさにそのような響きです。
このアルバムは「聖フーベルト・ミサ」だけでもメインになるところにヒンデミットとモーツァルトという重い作品も取り上げたまさに「熱いメッセージ」を伝える名盤としてお勧めしたいと思います。 |
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