ヨハネス・ヒンターホルツァー

シューベルト/八重奏曲ヘ長調
CD(Camerata CMCD-28276)

1.シューベルト/八重奏曲ヘ長調Op166、D803
   〜2つのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、
    コントラバス、クラリネット、ホルンと
    ファゴットのための
2.シューベルト/軍隊行進曲ニ長調D733
        (フェオドロフ編)

 アンサンブル・プリズマ・ウィーン
 トーマス・フェオドロフ(ヴァイオリン)
 ヴェロニカ・シュルツ(ヴァイオリン)
 アニタ・ミッテラー(ヴィオラ)
ドロテア・シェーンヴィーゼ=グシュルバウアー(チェロ)
 アレクサンドラ・ディエンツ(コントラバス)
 ゲオルク・リードル((クラリネット)
 ヨハネス・ヒンターホルツァー(ナチュラルホルン)
 ファイト・ショルツ(ファゴット)
 録音 2012年1月29&30日
 ライディング、フランツ・リスト・コンサートホール

 ウィーンの古楽器団体アンサンブル・プリズマ・ウィーンによるシューベルトの八重奏曲です。
 シューベルトの八重奏曲は演奏に1時間もかかる大曲で室内アンサンブルのための交響曲といえます。1824年に書かれており「未完成」と「ザ・グレート」の間になります。シューベルトはホルンを大切にした曲が多いのですが、この曲にも重要なメロディーを吹かせています。
 第1楽章は前奏のアダージョから良い響きを出しています。続くアレグロでは整然としたアンサンブルが聞かれます。オドロフのヴァイオリンとリードルのクラリネットが甘い響きで主題を歌います。続くヒンターホルツァーのナチュラルホルンは良い響きで演奏しています。古楽器のクラリネット、ファゴットやナチュラルホルンを使っていますが古さを感じません。密度の濃い演奏です。この楽章では同じ音型が楽器を変えてなんども繰り返されます。コーダはファゴットに始まって主題が各楽器に受け継がれながらホルンの見事なソロで終わります。第2楽章:アダージョはクラリネットで始まる穏やかな雰囲気がきれいです。オリジナル楽器の響きはよいものです。ヴァイオリンの響きも美しいです。中間部ではホルンのソロが歌われますが、ヴァイオリンとの対話もまたきれいです。後半も緻密なアンサンブルが聴かれます。コントラバスのピツィカートも良い響きです。
 第3楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェは快活なスケルツォです。リードルのクラリネット、ヒンターホルツァーのナチュラルホルンが良い響きを出しています。
オリジナル楽器の響きも魅力的です。きれいなアンサンブルです。第4楽章:アンダンテは主題と7つの変奏曲、「ロザムンデ」の間奏曲を思わせるような主題に始まります。クラリネットとヴァイオリンが良い響きで演奏しています。ファゴットとホルンの和音が大変きれいです。ヒンターホルツァーの吹くホルンの変奏もよい響きです。続くチェロの変奏もまた聞きものです。変化に富んだ7つの変奏曲は名作といえましょう。
 第5楽章:メヌエットはこの曲の中でも最も美しいといえる楽章です。クラリネットの美しい主題が流麗に歌われ弦楽器、ホルンに受け継がれていきます。ヒンターホルツァーのナチュラルホルンは優雅に響きます。クラリネット、ファゴット、弦楽器のユニゾーンの美しい響きもあって、優雅なメヌエットです。ファゴットのあたたかい響きが素晴らしいです。第6楽章:アンダンテ・モルト〜アレグロはシューベルトの音楽の美しさがあります。劇的な前奏に続くアレグロは見事なフィナーレです。素晴らしいアンサンブルです。演奏時間60分40秒。
 シューベルトの「軍隊行進曲ニ長調」は有名な行進曲です。この作品をトーマス・フェオドロフが八重奏に編曲したものを演奏しています。古楽器の演奏は味わい深いものです。


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