ヘルマン・バウマン

モーツァルト/協奏交響曲変ホ長調(1983)
CD(DECCA 480 6847)

1.モーツァルト/協奏交響曲変ホ長調K297B
2.  〃    /セレナード第10番変ロ長調K361
          「グラン・パルティータ」

  オーレル・ニコレ(フルート)(1)
  ハインツ・ホリガー(オーボエ)(1)
  ヘルマン・バウマン(ホルン)(1)
  クラウス・トゥーネマン(ファゴット)(1)
  サー・ネヴィル・マリナー指揮
   アカデミー室内管弦楽団(1&2)
    録音 1983年7月9&10日(1)
        1985年(2)

 モーツァルトの管楽器のための協奏交響曲は学者の間では真作かどうか疑問視されていました。モーツァルトが父へあてた手紙にはフルート、オーボエ、ホルンとファゴットのための協奏交響曲を書いたというのですが、これは演奏されずに行方不明となりました。そして後に発見された写譜の譜面にはフルートではなくクラリネットになっていたという不可解な問題があったのです。この楽譜はロバート・レヴィンがコンピューター分析の末に編曲をしてフルート版を復元したのでした。
  曲は従来のオーボエ、クラリネット、ホルンとファゴットの楽譜とはメロディーはかわらないものの、楽器の分担が代わりかつて聞いた演奏とは全く違う物になっています。とにかく面白いです。ホルンのバウマンは1976年に従来の297bの版で録音していますので、2種類の楽譜で録音したことになります。演奏は難しいところが多くバウマンの腕の見せどころです。
  モーツァルトのセレナード第10番「グラン・パルティータ」は別名「13管楽器のためのセレナード」とも言われますが、13番目の楽器はコントラバスになります。この作品は7つの楽章からなる大きな組曲ということから「グラン・パルティータ」と名づけられますが演奏時間は48分という大曲です。
 アカデミー室内管弦楽団はイギリスの名手が揃った団体です。第1楽章は序奏に続くアレグロ・モルトの華やかな響き、第2楽章:メヌエットの美しい響きも素晴らしいです。第3楽章アダージョはアンサンブルの美しい響き、第4楽章のメヌエットは勢いのある演奏です。第5楽章のロマンスはアダージョからアレグロになります。第6楽章は主題と変奏、クラリネットに主題が歌われます。そしてオーボエの演奏がありますが、これがモーツァルトのフルート四重奏第3番ハ長調K285bの第2楽章にも使われています。またホルンとファゴットによる低音の充実も見逃せないでしょう。この第6楽章は最も長い楽章になります。フィナーレの楽しい雰囲気はモーツァルトの求めたセレナードやディヴェルティメントの特徴でもありましょう。名演奏です。


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