ギュンター・ヘーグナー

モーツァルト/ホルン協奏曲全集
CD(DGG F60G29065/7)3枚組

モーツァルト/管楽器のための協奏曲集
CD1
1.フルート協奏曲第1番ト長調K313
2.オーボエ協奏曲ハ長調K314
3.ファゴット協奏曲変ロ長調K191
4.ホルン協奏曲第1番ニ長調K412
CD2
5.ホルン協奏曲第2番変ホ長調K417
6.ホルン協奏曲第3番変ホ長調K447
7.ホルン協奏曲第4番変ホ長調K495
8.クラリネット協奏曲イ長調K622
CD3
9.フルートとハープのための協奏曲ハ長調K299
10.オーボエ、クラリネット、ホルンとファゴットの為の
      協奏交響曲変ホ長調K297b

 ウェルナー・トリップ(フルート)(1)
 ゲルハルト・トレチェック(オーボエ)(2)
 ディートマール・ツェーマン(ファゴット)(3)
 ギュンター・ヘーグナー(ウィンナ・ホルン)
               (4〜7&10)
 アルフレート・プリンツ(クラリネット)(8)
 ウォルフガング・シュルツ(フルート)(9)
 ニカノール・サバレタ(ハープ)(9)
 ワルター・レーマイヤー(オーボエ)(10)
 ペーター・シュミードル(クラリネット)(10)
 フリッツ・ファルトゥル(ファゴット)(10)
 カール・ベーム指揮
  ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
   録音 1974年4月&5月(1&2)
       1972年9月(3&8)
       1979年12月17日(4)
       1979年3月9日(5)
       1978年11月28日(6)
       1979年12月22日(7)
       1979年5月(9&10)

  フルート協奏曲第1番はウェルナー・トリップのソロです。ベームとウィーン・フィルの作り出すモーツァルトの響き、そしてトリップのフルートはまさにウィーンのモーツァルトです。3つの楽章ともにウィーンの香り高いモーツァルトが響きます。
 オーボエ協奏曲ハ長調はフルート協奏曲第2番ニ長調としても演奏されますが原曲はオーボエ協奏曲ハ長調です。トレチェックのオーボエはウィンナ・オーボエのチャーミングな響きを一層美しいものにしています。第2楽章の美しい響きは絶品です。第3楽章の長いカデンツァも素晴らしいです。
 ファゴット協奏曲変ロ長調はツェーマンのファゴット・ソロによる演奏です。オーケストラのウィンナホルンの響きもきれいです。モーツァルトのファゴット協奏曲はファゴット協奏曲の代表的な作品だけに多くの録音がありますが、このベーム/ウィーン・フィルを伴奏としたツェーマンの演奏は実に美しいモーツァルトです。
 4つのホルン協奏曲はギュンター・ヘーグナーのウィンナホルンによる演奏です。ホルン協奏曲第1番の第1楽章はゆったりとした演奏でとても癒されます。バックのウィーン・フィルはモーツァルトの演奏においては最高のオーケストラだけにこの演奏は美しい響きにあふれています。第2楽章は弦楽の響き、ホルンの響き共に素晴らしいです。
 ホルン協奏曲第2番で聴く弦楽の美しさは絶品で、ベームの音作りの素晴らしさがあります。ウィンナホルンで聴く演奏もまたいいものです。第2楽章は弦楽の美しい響きとホルンの豊かな響きが素晴らしいです。第3楽章のロンドは軽快なホルンが聴かれます。速いフレーズでウィンナホルン独特の響きが聴かれます。
 ホルン協奏曲第3番は冒頭の「ドーソード」を目立たないように演奏しています。ソロはF管ホルンの特徴的な太い響きが聴かれます。難しいのですがこれがウィンナホルンの音です。そしてレガートの滑らかな演奏が続きます。カデンツァは良い響きです。第2楽章のロマンツェは弦楽の美しさと太い音色のホルンが素晴らしい演奏です。第3楽章のアレグロは軽やかなホルンでレガートによる滑らかな演奏です。
 ホルン協奏曲第4番は序奏の良い響きとホルンの温かな響きがきれいです。この流麗なモーツァルトはウィーン・フィルならではのものといえましょう。展開部の優雅な響きもたまりません。カデンツァはオリジナルの長いものです。よくできています。第2楽章のロマンツェは穏やかに歌います。弦楽がきれいです。第3楽章のロンドは軽やかで滑らかな演奏です。オーケストラの響きもよくさわやかなモーツァルトです。コーダ前にカデンツァは入りません。
 フルートとハープのための協奏曲はモーツァルトがパリで作曲した名曲です。華やかな響きのこの作品は録音も多く、名演揃いですが、このシュルツのフルート、サバレタのハープとベーム/ウィーン・フィルの演奏も格調の高い演奏です。シュルツのフルートは特筆ものです。サバレタの弾けるハープの響きも絶品ものです。
 オーボエ、クラリネット、ホルンとファゴットの為の協奏交響曲は4つの管楽器が実によくバランスの取れた演奏になっています。ヘーグナーのウィンナホルンがこれほどよい響きに聞こえるとは思えませんでしたが、クラリネット、オーボエ、ファゴットとともによく調和された演奏です。この協奏交響曲の多くの録音の中でも特筆すべき演奏といってよいでしょう。改めて聴いてこの作品の素晴らしさに感動しました。ベーム/ウィーン・フィルのモーツァルトの格調の高い演奏に感服しました。


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