デニス・ブレイン

モーツァルト/ホルン協奏曲全集(2012MAJOR CLASSICS)
CD(MAJOR CLASSICS M2CD017)

モーツァルト/協奏曲集
1.ヴァイオリン協奏曲第3番ト長調K216
2.ヴァイオリン協奏曲第4番ニ長調K218
3.ヴァイオリン協奏曲第5番イ長調K219「トルコ風」
4.ホルン協奏曲第1番ニ長調K412&514
5.ホルン協奏曲第2番変ホ長調K417
6.ホルン協奏曲第3番変ホ長調K447
7.ホルン協奏曲第4番変ホ長調K495

 ユーディ・メニューイン(ヴァイオリン)(1〜3)
 デニス・ブレイン(ホルン)(4〜7)
 ジョン・プリッチャード指揮(1〜3)
 ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮(4〜7)
  バース音楽祭管弦楽団(1)
  フィルハーモニア管弦楽団(2〜7)
 録音 1961年(1)
     1954年12月6日(2)
     1954年1月6日(3)
     1953年11月12、13&23日(4〜7)

 このアルバムはメニューインのモーツァルト3曲とブレインのモーツァルト4曲の2枚組です。
 ヴァイオリン協奏曲第3番は1961年のバース音楽祭の録音です。この曲だけステレオ録音です。メニューインの鮮やかなヴァイオリンが聴かれます。
 ヴァイオリン協奏曲第4番は同じプリッチャードの指揮ですが、こちらは1954年のフィルハーモニア管弦楽団との共演です。この演奏では冒頭からブレインのホルンが響きます。モノラルですが録音は良いので良い響きです。ヴァイオリンの響きも一層よく響きます。
 ヴァイオリン協奏曲第5番はモーツァルトのヴァイオリン協奏曲の中でも傑作と思いますが、メニューインの演奏は第1楽章から美しい響きを奏でます。トルコ風のリズムが入る第3楽章の優美な演奏が聴かれます。ホルンのデニス・ブレインも聞き逃せません。
 ホルン協奏曲を演奏するデニス・ブレインは明るく甘いトーンで聴く者をうっとりさせます。ホルン協奏曲第1番はブレインのホルンがとても甘くな柔らかな音で流れてきます。数あるこの協奏曲の中でも極めて美しい響きです。カラヤンの音作りも大変美しい響きですから別格の録音になっています。第2楽章では弦楽のレガート、ホルンの優雅な演奏、なんとも言えない天国的なモーツァルトそのものです。
 ホルン協奏曲第2番は序奏の美しい弦楽、ホルン・ソロの明るい響き、まろやかなホルンの美しさ、ホルンでこのような音が出るとは不思議なほどの素晴らしさがあります。弦楽の透明感、ホルンの安定した音色、ブレインのとりこになります。第2楽章のこの上ないような美しさ、第3楽章のロンドでは丘に駆け上がるような勢いと美しいホルンの響き、低音の素晴らしさ、タンギングの鮮やかなこと、感動ものです。
 ホルン協奏曲第3番はモーツァルトの傑作です。冒頭からブレインのホルンが響きます。ホルンのソロが始まるとまろやかな響きの美しいこと、思わず聞き入ってしまいます。ブレインはこの録音のためにカデンツァを新しく作っていました。その流麗なカデンツァは実に美しい響きです。第2楽章のロマンツェはブレインのホルンの美しさが際立っています。第3楽章のアレグロは軽やかなホルンで、鮮やかなタンギング、そして美しいレガートと絶品の演奏です。
 ホルン協奏曲第4番は序奏から弦楽のレガートの美しさがあります。ホルンのソロは緊張感のある響きで、この作品ならではの表現があります。展開部の美しさ、カデンツァは軽やかで高音が美しい素晴らしいものです。第2楽章のロマンツェはこれもまた素晴らしいブレインのホルンが響きます。うっとり聞きほれてしまいます。第3楽章のロンドはブレイン独特のタンギングの響きが流れます。これぞデニス・ブレインのホルンといえる響きです。
 このブレインの4曲はモーツァルトのホルン協奏曲の永遠のお手本となる演奏です。何度聴いても飽きることのない名演奏です。CDは2012年発売の英国盤。


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