セレン・ヘルマンソン

アンデション/ホルン協奏曲(1985/93)
CD(PHONO SUECIA PSCD178)

 B・トミー・アンデション/作品集
1.サテュリコン(2000)〜大管弦楽のための舞踊詩
    マンフレッド・ホーネック指揮
     スウェーデン放送交響楽団
2.ソネット XVIII 
  「きみを夏の一日にくらべたらどうだろう」
      〜無伴奏混声合唱のための(2002)
    ペーター・ダイクストラ指揮
     スウェーデン放送合唱団
3.投影(2003)〜ソプラノSAXと管弦楽のための
   アンデシュ・パウルソン(ソプラノサキソフォン)
    B・トミー・アンデション指揮
     ヘルシンボリ交響楽団
4.ポントゥスのための小品(2007)〜ピアノのための
   マグヌス・スヴェンソン(ピアノ)
5.わたしにくちづけしてくださるように(2004)
       〜無伴奏混声合唱のための
   ウーロフ・ボマン指揮
     ノートゥス・アンサンブル
6.ホルン協奏曲(1985/93)
    セレン・ヘルマンソン(ホルン)
    B・トミー・アンデション指揮
     ヘルシンボリ交響楽団
    録音 2004年4月23日(1)
        2007年9月29日(2)
        2008年12月16&17日(3)
        2008年9月10〜12日(6)
        2008年10月2日(4)
        2008年10月1日(5)

  B・トミー・アンデション(1964〜)はスウェーデンの作曲家です。ホルン協奏曲意外は2000年代になってからの作品です。
  1曲目の「サテュリコン」は舞踊詩というもので振り付けをしたポエムという意味です。ロマン派の交響詩とは一線を画するものですが勢いのある音楽そのものは胸が熱くなります。スリリングでもあり演奏の緊張感は凄まじいものです。
  2曲目のソネット第18番「きみを夏の一日にくらべたらどうだろう」は2002年の作品。無伴奏混声合唱のために書かれました。4分ほどの小品。
  3曲目のソプラノ・サキソフォンと管弦楽のための「投影」は2003年の作品。協奏作品といえます。ソプラノSAXの美しい響きが冒頭から流れます。木管とのからみあいが絶妙です。作品は過激ではなく標題音楽のように聴きやすいものです。後半は21世紀音楽らしい響きが流れます。
  4曲目の「ポントゥスのための小品」は2007年の作品でピアノ・ソロで演奏されます。3つの小品から構成され、第1曲「秘密の劇場」、第2曲「ガニメデ」、第3曲「魅惑的なゲーム」となっています。いずれもどちらかといえば易しい小品といえます。この作品は振付師で舞踊家、またアマチュア・ピアニストでもあったポントゥスのために作曲され献呈されました。
  5曲目の「わたしにくちづけしてくださるように」は2004年に無伴奏混声合唱のために書かれました。6分あまりの曲。
  6曲目の「ホルン協奏曲」は1985年にホルン・ソナタとして作曲されたものを1993年にホルン協奏曲に編曲したものです。第1楽章:ミステリオーソ〜アレグロ・エネルジコ、第2楽章:レント、第3楽章:ヴィヴァーチェから構成され20分を超える大作です。第1楽章はホルン・ソロに始まりゆったりとしたメロディがミステリアス(神秘的)です。ヘルマンソンのホルンはタックウェルが吹くような響きでホルンが前面に出ています。第2楽章のレントはロマン的でホルンが朗々と響きます。後半の速いパッセージが魅力的です。第3楽章:ヴィヴァーチェは低音から高音まで縦横に吹きまくるホルンの素晴らしさ、オーケストラは良い響きでホルンを引き立てます。この楽章はテンポの変化があって演奏はかなり難しいでしょう。それにしてもヘルマンソンのホルンは絶品です。20世紀のホルン協奏曲はたくさんありますが、このアンデションの作品もまた忘れられない名作です。


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