ラデク・バボラーク

モーツァルト/ロンド、フラグメント、12のホルン二重奏曲、協奏交響曲
CD(SUPRAPHON SU-4251-2)

モーツァルト/ホルンのための作品集
CD1
1.ホルン協奏曲変ホ長調K370b
        (ユーリッセン補筆完成版)
2.アダージョ 変ロ長調K580a〜ホルンと弦楽
    (カワート補筆完成)(トマーシュ・イレ編曲)
3.ロンド 変ホ長調K371〜ホルンと弦楽
     (フランツ・バイヤー補筆完成版)
4.12のホルン二重奏曲K487より第1番〜第6番
5.フラグメント ホ長調K494a〜ホルンと弦楽
   (ドミニク・ナンス補筆完成版)
6.アンダンテ・グラツィオーソ ロ長調K132-2
    〜ホルンと弦楽のための(バボラーク編)
7.プレスト・アッサイ ホ長調 K162-3
    〜ホルンと弦楽のための(バボラーク編)
CD2
8.12のホルン二重奏曲K487より第7番〜第12番
9.協奏交響曲変ホ長調K297b
 〜フルート、オーボエ、ホルン、ファゴットと管弦楽
  (バボラーク編曲、ロバート・レヴィン:カデンツァ)

 ラデク・バボラーク(ホルン&指揮)
 ラドヴァン・ヴラトコヴィチ(ホルン)(4&8)
 ワルター・アウアー(フルート)(9)
 クララ・デント(オーボエ)(9)
 ベンチェ・ボガーニ(ファゴット)(9)
 バボラーク・アンサンブル

 録音2018年5月13日(4&8)
    2018年6月30日(1〜3&5〜7)
    2018年7月2日(9)
    プラハ、ブレザレン福音教会(1〜8)
    ドモヴィナ・スタジオ(9)

 バボラークのモーツァルトのホルン作品です。室内楽版のホルン協奏曲全集とホルン五重奏曲は2016年に録音していましたので、残りのホルン作品とバボラークが交響曲から選んだ緩徐楽章とプレスト楽章を編曲した作品やホルン二重奏曲などが録音されています。
 ホルン協奏曲変ホ長調K370bはユーリッセンの補筆完成版による演奏です。ホルンと弦楽で演奏しています。バボラークの美しい響きのホルンが穏やかにモーツァルトを歌います。滑らかなホルンが素晴らしいです。カデンツァは重音奏法を使う見事なものです。
 アダージョ 変ロ長調 K580aは原曲がクラリネットと3本のバセットホルンのための作品です。これをロバート・カワートが補筆完成、トマーシュ・イレがホルンと弦楽のために編曲したものです。バボラークはK370bの次に入れる緩徐楽章に演奏したものです。最初からホルン作品だったように思えるほどです。素晴らしい演奏です。
 ロンド 変ホ長調K371はフランツ・バイヤーの補筆完成版での演奏です。レヴィンの版とはホルン・ソロ少し違いがあります。それがとても新鮮に聞こえます。カデンツァは滑らかできれいな演奏です。
 12のホルン二重奏曲K487より第1番〜第6番はおなじみのデュオです。この6曲ではバボラークが1番ホルン、名手ラドヴァン・ヴラトコヴィチが2番ホルンを演奏しています。時にはアドリブも加えた大変楽しい演奏です。バボラークとヴラトコヴィチのデュオが聴けるとはびっくりですが、音色もスタイルも息もぴったりでこれ以上望めそうもない名演です。
 フラグメント ホ長調K494aはホルンと弦楽のためにドミニク・ナンスが補筆完成したものです。オリジナルとの響きの違いがあります。またユーリッセンとはまったく異なる補筆部分のメロディがありますので新曲のようです。展開部から再現部の違いはモーツァルトの書いた断片をどのように使うかですのでこの違いは面白いです。カデンツァはバボラークのオリジナルです。
 アンダンテ・グラツィオーソ ロ長調K132-2は交響曲第19番の第2楽章;アンダンテをバボラークがホルンと弦楽のために編曲したものです。K494aの次の緩徐楽章に使うためです。穏やかな美しい作品です。
 プレスト・アッサイ ホ長調K162-3は交響曲第22番の第3楽章:プレスト・アッサイをバボラークがホルンと弦楽のために編曲してK494aの第3楽章に仕立てたものです。華やかで楽しい小品です。
 12のホルン二重奏曲K487より第7番〜第12番はヴラトコヴィチが1番ホルンバボラークが2番ホルンを吹いての演奏です。ヴラトコヴィチのやわらかなホルンが気持ちよい響きです。パートを交代するとちょっと響きが変わってよいものです。モーツァルトの美しい音楽が一層引き立ちます。このデュオも素晴らしい演奏です。
 フルート、オーボエ、ホルン、ファゴットと管弦楽のための協奏交響曲変ホ長調K297bはバボラークが小編成のオーケストラ用に編曲して演奏しています。この作品はクラリネットを使わないほうでロバート・レヴィンの版を使っています。オーケストラ版とそれほど変わらない響きです。カデンツァはロバート・レヴィンの版を使っています。 第2楽章の美しい響きの演奏もまたいいものです。第3楽章の明るい響きと軽快な演奏はモーツァルトの楽しさがあります。
 このアルバムはモーツァルトのホルン協奏曲が新たに2曲聴けるようなプログラムになっています。バボラークの斬新な企画は素晴らしいと思います。


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