ヘルマン・バウマン

ブリテン/テノール、ホルンと弦楽ためのセレナードOp31
CD(ica CLASSICS ICAC 5096)

1.シューベルト/交響曲第4番ハ短調D.417「悲劇的」
2.ブリテン/テノール、ホルンと弦楽ための
         セレナードOp31
3.シベリウス/交響曲第2番ニ長調Op43

  ジェラルド・イングリッシュ(テノール)(2)
  ヘルマン・バウマン(ホルン)(2)
  サー・ジョン・バルビローリ指揮
  ケルン放送交響楽団
  録音1969年2月7日

 バルビローリがケルン放送響に客演したときの放送録音です。その中にバウマンがホルンを吹いたブリテンのセレナードがあって驚きました。2013年に日の目を見た幻の録音です。
 シューベルトの交響曲第4番ハ短調D.417「悲劇的」は18歳の作品、夭折の天才作曲家だけにその作品の完成度は高いです。18歳の作品とは思えない素晴らしい作品です。
 ブリテンの「セレナード」はテノール、ホルンと弦楽のための作品です。バウマン35歳当時のホルンは透明感があり軽いビヴラートも入る大変美しい響きが印象的です。第1曲「プロローグ」はバウマンがきれいな倍音を十分に響かせる見事なものです。第2曲「パストラール」はイングリッシュのテノールとホルンの対話がきれいです。バウマンのホルンが実にきれいです。第3曲「ノクターン」は冒頭の弦楽のゆったりとした演奏が素晴らしい。テノールとホルンの対話からテンポの変化を見えるなどバルビローリの指揮も素晴らしいものがあります。ミュートを使うホルンの響きが大変きれいです。第4曲「エレジー」はホルンのバウマンの半音階的ロングトーンが良い響きです。第5曲「ジーグ」ではテンールと弦楽の盛り上がりの緊張感とホルンの強奏が聞き所バウマンの力演が聞かれます。第6曲「賛歌」ではホルンの軽やかな演奏とテノールが絡む素晴らしい演奏です。バウマンのホルンが縦横に響きます。第7曲「ソネット」はテノールの歌唱と弦楽の響きが聞き所、第8曲「エピローグ」はホルン・ソロでステージ裏から「プロローグ」と同じ演奏が響きます。
 シベリウスの「交響曲第2番ニ長調」はバルビローリ最晩年の演奏でした。シベリウスが得意だったバルビローリがケルンで残した2番は第1楽章から重厚な響きを出していて、やや遅めのテンポの第1楽章から強い印象を与えてくれます。第2楽章の抒情的な響き、第3楽章からフィナーレの壮大な響きとシベリウスの音楽がたっぷりと聞かれます。大変素晴らしいプログラムです。


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