福川 伸陽

藤倉 大/ホルン協奏曲第2番(2019)
CD(Sony Music SICX 10008)

藤倉 大/タートル・トーテム
1.THREE〜トランペット、トロンボーン、
         エレキギターのための
2.ホルン協奏曲第2番(アンサンブル版)
3.OBI(帯)〜笙とエレクトロニクスのための
4.Scarlet Ibis〜コントラバス・ソロのための
5.Turtle Tortem〜クラリネット・ソロのための
6.Umi(海)〜管弦楽のための

 アンサンブル・スリー(1)
  ジョエル・ブレナン(トランペット)
  ドン・インメル(トロンボーン)
  ケン・マーレイ(エレクトリック・ギター)
 福川 伸陽(ホルン)(2)
 佐藤 紀雄/アンサンブル・ノマド(2)
 東野 珠美(笙)(3)
 佐藤 洋嗣(コントラバス)(4)
 吉田 誠(クラリネット)(5)
 アントニ・ヴィット指揮
  名古屋フィルハーモニー交響楽団(6)
 録音 2019年4月17日
      メルボルン・ライヴ(1)
     2019年9月28日東京ライヴ(2)
     2019年12月17日(3)
     2019年9月21日(4&5)
     2019年2月23日名古屋ライヴ(6)

 藤倉 大(1977〜)の現代音楽的なアルバムです。管楽器のための作品と弦楽器そしてオーケストラの作品です。
 「THREE」はアンサンブル・スリーの委嘱作品です。トランペット、トロンボーンとエレキギターのための作品です。この作品も藤倉らしい作品でトランペットとトロンボーンがワウワウミュートでワンワン、ワウワウが使われています。途中からこのワウワウが頻繁に出てきます。エレキギターの多彩な音色もまた面白いです。
 「ホルン協奏曲第2番」は福川伸陽の委嘱作品です。アンサンブルの中にホルンが入っての演奏です。単一楽章の作品です。前半はワウワウミュートを使う「ぽよぽよ協奏曲」といえそうな面白い作品です。福川の得意そうな奏法がどんどん出てきます。中間部には開放ホルンで朗々と吹く部分があります。コーダ部分にはゲシュトップ奏法があります。聞くほどに楽しい作品です。18分45秒の大作です。
 OBI(帯)は笙とエレクトロニクスのための作品です。東野 珠美の委嘱作品ですが、笙だけでは表現と音域に限界がありますので、笙の音をエレクトロニクス加工して加えるということのようです。二重奏のように聞こえてきます。時にエレクトロニクスサウンドが入ると面白いです。16分53秒の大作です。
 「Scarlet Ibish」はコントラバス・ソロのための作品です。2016〜17年の作品、コントラバスの調弦をウィーン式の調弦で演奏するようにできています。独特の響きで、冒頭のピツィカートからコントラバスとは思えない響きが聞こえてきます。共鳴の不思議さがあるようです。途中から弓を使います。響きの良さで合奏のように聞こえたりするのには驚きます。だから藤川に作曲の依頼があるのだとわかります。初演者はドイツのエリクソン・ルイスです。4分07秒の小品です。
 「Turtle Tortem」はクラリネット・ソロのための作品です。「ながらの座・座」の委嘱作品という異色の作品です。クラリネットのソロでフラッターを使うので面白い響きの連続です。庭園の風景を表現したものです。初演者の吉田誠の演奏が素晴らしいです。5分14秒の作品。
 Umi(海)はオペラ作品を管弦楽のために書きなおしたものです。この作品は冒頭から嵐の海のようです。やがて寄せる波のような部分も聞こえてきます。中間部には穏やかな美しい「海」が聞こえてきます。チェレスタの響きもきれいです。後半のざわめきのような表現も面白いです。またコールアングレの美しい響きも聴きものです。コーダは弦楽による波のうねりが素晴らしいです。名古屋フィルハーモニーの名演奏がこの作品を名作にしています。演奏時間20分26秒でドビュッシーの「海」と並ぶ大作です。


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