デニス・ブレイン

ブリテン/セレナードOp31(1944)
CD(DECCA 425 996−2)

1.ブリテン/セレナードOp31
2.  〃  /ミケランジェロの7つのソネット
3.  〃  /冬の言葉Op52
  デニス・ブレイン(ホルン)(1)
  ピーター/ピアーズ(テノール)(1〜3)
  ベンジャミン・ブリテン(ピアノ)(2&3)
  ベンジャミン・ブリテン指揮
        ボイド・ニール合奏団(1)
  録音 1944年5月25日&10月8日(1)
      1954年7月17&18日(2)
      1954年3月16&17日(3)  

 この録音は初演者による世界最初の録音でした。SP録音でしたが日本での発売はあったのでしょうか。むしろ日本ではLPモノラル録音のグーセンス盤の方が知られていたように思います。
 この録音は最初の録音として知られてはいたのですが、1973年にキングレコードが復刻盤を出すことになっていました。しかしイギリスから届いたSP盤に問題があり復刻ができませんでした。この時はすでに発売予告も出され、LP番号もSLC2186と決まっていました。私も予約したのですがいつになっても入手できないのでキングレコードに問い合わせしたところ、「復刻不可能でレコードは1枚も世に出ていません」ということでした。
 そういうわけで、このCDが1992年に発売されたときはどきどきして聞いたものです。伝説の録音が20年経ってCDで世に出ました。LPはグーセンス盤しかなくてこの44年盤がどんな演奏なのか・・・
 23歳のブレインはラウーのピストンホルンを愛用していました。その独特の音色でプロローグから聞くと53年の録音と基本的に演奏に違いはありません。違うといえばむしろ若々しいピアーズのテノールです。艶のある力強い歌唱です。またCD復刻の素晴らしさで録音の古さは全く感じません。「パストラール」ではピアーズの美声とブレインのまろやかなホルン、「ノクターン」では弦楽の響きに続くテノールそしてブレインの跳躍するようなホルンが素晴らしい。第4曲「エレジー」はホルンが半音ずつ下がるロングトーンの連続です。ホルンのソロが長いので全曲の中でも聞きどころです。ブレインのきれいなホルンは変わりません。第5曲「ジーグ」では後半にホルンが入ります。第6曲「賛歌」は狩りのホルンのような跳躍するホルンが速いテンポで演奏されています。このスピードには驚きます。第7曲「ソネット」はテノールと弦楽だけのポエム。第8曲「エピローグ」は少し離れて録音したのでしょうか。それにしてもやはりブレインは凄いホルン奏者です。
 「ミケランジェロの7つのソネット」と「冬の言葉」はピアーズのテノール、ブリテンのピアノで初演されています。(ドイツ盤)


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