ローラント・ホルヴァート

現代の音楽/ウィーン・ヴァルトホルン合奏団
CD(ARICORD CDA−29601)

現代の音楽
1.ウール/ローゼンブルク・ファンファーレ
2.ルートヴィヒ・ライター/マルヒェックの
      狩りのセレナーデ
   1)行進曲 2)カンツォネッタ
   3)スケルツィーノ 4)フィナーレ
3.ウェルナー・レンベルク/イントラーダ
4.アントン・ガッチャ/イントラーダ
5.ゼイフリート/小組曲
   1)アウフタクト 2)行進曲
   3)スケルツォ 4)間奏曲
   5)フィナーレ
6.アルトゥシュ・レクトトリース/
       WWV100周年記念のイントラーダ
7.ディーター・アンゲラー/狩猟本能
8.       〃    /熱風
9.       〃    /コルナのお嬢さん
10.ペーター・トッツァウアー/4つの四重奏曲
11.ルドルフ・オホス/夕べの鐘
12.カウフマン/アレグロ・コンモート
13.ヴァルター・ライン/深い森の中で
14.ガーブリエル・ピケシュ/草花
15.アレクサンダー・シュタイニッツ/
           6本のホルンのための小品
16.ゼイフリート/意地悪な奇想曲
17.カール・エッティ/イントラーダ
18.ペリンカ/ジェニファー・ファンファーレ
19.ヴァルドラム・ホルフェルダー/
     可愛いアウグステンン(オーストリア民謡)
20.ゼイフリート/年老いたペーター
         〜主題と6つの変奏

  ローラント・ホルヴァート(ウィンナホルン)
  エルハルト・ゼイフリート指揮
  ウィーン・ヴァルトホルン合奏団
   録音 2000年頃

 ゼイフリート監修、編曲と指揮によるウィーン・ヴァルトホルン合奏団による現代作品の演奏です。
 アルフレート・ウール(1909-1992)の「ローゼンブルク・ファンファーレ」はアルバムの冒頭を飾るファンファーレです。
 ルートヴィヒ・ライター(1906-2000)の「マルヒェックの狩りのセレナーデ」は4つの楽章になっています。第1楽章「行進曲」第2楽章「カンツォネッタ」、第3楽章「スケルツィーノ」、第4楽章「フィナーレ」の順に演奏されます。第3楽章ではゲシュトップやフラッター・タンギングなどのテクニックが使われています。
 ウェルナー・レンベルク(1968〜)の「イントラーダ」は短い小品ながらも元気を与えてくれそうな軽快な作品です。
 アントン・ガッチャ(1883-1922)の「イントラーダ」は3分30秒の小品です。ホルン・アンサンブルの醍醐味を味わえる作品です。高音から低音のパートで幅広く奥行きのある響きが素晴らしいです。
 ゼイフリート(1922の「小組曲」は5つの小品で構成されています。第1曲「アウフタクト」、第2曲「行進曲」、第3曲「スケルツォ」、第4曲「間奏曲」、第5曲「フィナーレ」の順で演奏されます。第2曲「行進曲」と第3曲「スケルツォ」、第5曲「フィナーレ」ではホルン・アンサンブルの楽しさを感じます。
 アルトゥシュ・レクトトリース(1935〜)の「WWV100周年記念のイントラーダ」はウィーン・ヴァルトホルン合奏団の創設100周年を記念して作曲されました。お祝いムードあふれる作品です。
 ディーター・アンゲラー(1952〜)の「狩猟本能」は森に集まる狩人の音楽です。追いかける犬や、逃げる動物などを表現しているようです。
 アンゲラーの「熱風」はこのホルン四重奏がオリジナルです。ホルヴァートは他に、ホルン、ヴァイオリン、ヴィオラとチェロのための編曲も録音していましたが、やはりオリジナルのホルン・アンサンブルの方が素晴らしい響きです。低音のホルン・ソロには存在感があります。
 アンゲラーの「コルナのお嬢さん」は元気の良いお嬢様の様子が目に浮かぶようです。軽快なホルン・アンサンブルです。
 ペーター・トッツァウアー(1945〜)の「4つの四重奏曲」は4つの小品で構成されています。第3曲「グロテスクなワルツ」は面白い響きです。これもホルン・アンサンブルの楽しみです。
 ルドルフ・オホス(1887-1951)の「夕べの鐘」は穏やかなテンポで夕暮れの雰囲気を出しています。
 レオ・ユスティヌス・カウフマン(1901-1944)の「アレグロ・コンモート」は軽快なテンポでホルン・アンサンブルが演奏されます。ソロも交えての作品は楽しく聴けます。
 ヴァルター・ライン(1893-1955)の「深い森の中で」は穏やかなテンポで始まり、不安の様子まで感じられます。最後には光が見えてきたようです。
 ガーブリエル・ピケシュ(1959〜)の「草花」は草原の花か庭の花かわかりませんが、きれいな小品です。花々の表現をホルンで演奏するのは面白いです。
 アレクサンダー・シュタイニッツ(1967〜)の「6本のホルンのための小品」はホルン六重奏の作品。よいテンポでホルンの和音をじつによく響かせてくれます。
 ゼイフリートの「意地悪な奇想曲」は3つの部分になっていて、冒頭と後半は合わせにくそうなフレーズが続きます。中間部は穏やかなホルンの和音が響きます。面白い作品です。
 カール・エッティ(1912〜1996)の「イントラーダ」は華やかな響きで始まり、まさにホルンの美しい響きを聴かせてくれる素晴らしい作品です。
 ウェルナー・ペリンカ(1954〜)の「ジェニファー・ファンファーレ」は短い小品ですが、元気をもらえそうなファンファーレです。
 ヴァルドラム・ホルフェルダー(1924-2017)の「可愛いアウグステンン」はオーストリア民謡からの編曲です。聴けばすぐにわかる名曲ですから楽しく聴けます。
 ゼイフリートの「年老いたペーター」は主題と6つの変奏となってはいますが、主題になっているミュンヘン民謡「年老いたペーター」にはR・シュトラウスの「ティル」の主題があります。これが面白いです。第1変奏「ラッソーのエコー」、第2変奏「レーガーのモーツァルトの主題による変奏曲」、第3変奏「ワーグナーのニーベルングの指環」、第4変奏「フンパーディンクのヘンゼルとグレーテル」、第5変奏「プフィッツナーのパレストリーナ」、第6変奏「R・シュトラウスのばらの騎士」というそれぞれからの引用というのも面白いです。最後は「ティル」で締めています。これは楽しい作品です。


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