デニス・ブレイン

モーツァルト/ホルン協奏曲集/R・シュトラウス/ホルン協奏曲第1番
MP3音源(ICA Classics)

GREAT SOLOISTS
1.ラフマニノフ/パガニーニの主題による狂詩曲Op23
2.モーツァルト/ホルン協奏曲第2番変ホ長調K417
3.   〃   /ホルン協奏曲第4番変ホ長調K495
4.R・シュトラウス/ホルン協奏曲第1番変ホ長調Op11

 モニク・ド・ラ・ブルショルリ(ピアノ)(1)
 ユージン・グーゼンス指揮BBC交響楽団
  録音 1955年10月30日BBCスタジオ
 デニス・ブレイン(ホルン)(2〜4)
 ワルター・ゲール指揮ロンドン交響楽団(2)
  録音1954年4月12日ロイヤル・フェスティバル・ホール(2)
 パウル・ザッヒャー指揮
   ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団(3)
  録音1953年11月18日ロイヤル・フェスティバル・ホール(3)
 サー・エイドリアン・ボールト指揮BBC交響楽団(4)
  録音1956年3月18日BBCスタジオ(4)

 大変貴重なBBC放送のライヴ録音です。すべて世界初発売の幻の録音です。
 ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」を演奏しているモニク・ド・ラ・ブルショルリ(1915〜1972)はフランスのピアニストです。大変良い響きの録音で演奏の素晴らしいこと表現力の豊かさを感じます。
 モーツァルトのホルン協奏曲第2番はデニス・ブレインが好んで演奏会に取り上げた作品です。また新たな録音が発掘されました。1954年4月12日にワルター・ゲールとの共演でした。ブレインは1953年11月にモーツァルトのホルン協奏曲全集をカラヤン指揮でスタジオ録音したばかりでしたので、この演奏はほとんどホルンの音色も演奏スタイルもスタジオ録音に似ています。それでもライヴ演奏のブレインは歌い方に若干の違いがあります。第2楽章の美しさは素晴らしく、そして第3楽章のロンドではフェルマータの前でテンポを落したり、20〜21小節の上昇フレーズで最初にスラーをいれないタンギングのみの演奏です。これは翌月5月7日にイッセルシュテットとの共演でも同じ吹き方でした。
 モーツァルトのホルン協奏曲第4番はブレイン初のライヴ音源です。1943年のSP録音とスタジオ録音の全集以外は知られていませんので幻の演奏です。パウル・ザッヒャーとはシェックのホルン協奏曲を録音していました。この演奏はカラヤンとモーツァルトのホルン協奏曲全集を録音している時期と重なりますので、演奏の素晴らしさは全く同じと言ってよいでしょう。第1楽章のカデンツァもスタジオ録音と同じです。第2楽章のロマンツェでは中間部で若干テンポアップしていました。これがライヴならではの醍醐味でしょう。第3楽章のロンドはブレインらしい演奏と響きの良さが素晴らしいです。コーダ前のカデンツァはありませんが、これぞブレインのホルンです。
 リヒャルト・シュトラウスのホルン協奏曲第1番は2つのスタジオ録音とイッセルシュテットとのライヴ録音がありました。この演奏はボールトとの共演で演奏記録はありましたが世に出るのは初めてのことです。第1楽章はやや速めのテンポで進むものでボールトの指揮ぶりがうかがえます。サヴァリッシュとのスタジオ録音は半年後の1956年9月ですからこの演奏はブレインの貴重な録音になります。第2楽章もやや速めの演奏です。それにしても全盛期のブレインの演奏は滑らかで見事なものです。第3楽章のロンドもまた大変素晴らしい演奏です。これほどホルンが美しい響きで滑らかに演奏したホルン奏者が60年以上も前にいたとは驚きです。フェルマータのクレッシェンドは聴いていると興奮してきます。それほどに素晴らしい演奏です。今まで聴いてきたブレインの演奏とはまた違うものでした。聴くことができて幸せです。このブレインの3曲は大絶賛です。(2019年5月発売)


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