日高 剛
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CD(CAMERATA CPCD-38004)
究極のホルン作品集
1.シューマン/アダージョとアレグロOp70
2.クーツィール/華麗なるスケルツォOp96
3.ブラームス/ロンド・アラ・ツィンガレーゼ
〜ピアノ四重奏曲第1番より(津村芳伯編)
4.チャイコフスキー/アンダンテ・カンタービレ
〜交響曲第5番ホ短調:第2楽章
5.ワーグナー/「ラインの黄金」より(ホルン八重奏)
6.ベートーヴェン/ホルン・ソナタ ヘ長調Op17
7.中原達彦/月光のもとで聲を聞く
8. 〃 /ハレルヤ!
日高 剛(ホルン)(1〜5&7〜8)
〃 (ナチュラルホルン)(6)
〃 (ほら貝)(7)
三輪 郁(ピアノ)(1〜5&7〜8)
大塚 直哉(フォルテピアノ)(6)
録音 2014年7月19日&
8月3〜5日
日高剛の2枚目のアルバムは古典の名曲から委嘱作品まで録音したもので、ベートーヴェンだけはナチュラルホルンで演奏しています。
シューマンの「アダージョとアレグロ」はホルンの定番中の定番ながら音域の広い作品で、スラーの連続という大変演奏が難しい作品でもあります。日高の演奏は楽譜に忠実で素晴らしい演奏になっています。改めてこの作品の素晴らしさと演奏の難しさを感じました。
クーツィールの「華麗なるスケルツォ」は輝かしいスケルツォOp96は1983年にマリー=ルイズ・ノイネッカーのために書かれています。ピアノのきらめきも素晴らしい作品です。ホルンは動きの激しいフレーズが続きます。音域の広い作品でシューマン同様に演奏が大変難しいものと思われます。
ブラームスの「ロンド・アラ・ツィンガレーゼ」はピアノ四重奏曲第1番の第4楽章を津村芳伯がホルンとピアノのために編曲したものです。「ロンド・アラ・ツィンガレーゼ」とは「ジプシー風のロンド」という意味で、これはホルンで「ツィゴイネルワイゼン」を吹くようなものです。息継ぎの難しさを考えると日高の名演奏には脱帽です。
チャイコフスキーの「アンダンテ・カンタービレ」は交響曲第5番ホ短調の第2楽章をホルンとピアノのために編曲したものです。編曲者は不明です。ホルヴァートの編曲した楽譜とはまったく異なるものです。日高はN響在任時代に演奏したことがあって、このアレンジを演奏したようです。このアレンジは様々な楽器のソロもホルンで吹いており、ホルヴァートの編曲よりもホルン・ファンにはたまらないものです。
ワーグナーの作品は楽劇「ラインの黄金」の冒頭をホルン八重奏用に日高自らが編曲して演奏したものです。しかも8種類のホルンを持ち替えて録音という、遊びにしてもこだわりを感じさせる録音です。
ベートーヴェンの「ホルン・ソナタ」はホルンの極めつけナチュラルホルンを使用しての演奏で、伴奏も19世紀のフォルテピアノを用いてピアノの音が控えめというところも注目です。この録音には1801年の初版楽譜を使っているそうです。第2楽章に違いがあります。第1楽章では提示部のリピートで即興を入れるという離れ業もみせています。このナチュラルホルンをいとも簡単そうに操る日高のテクニックには脱帽です。スラー、タンギングのうまさは抜群で音程の正確さ、ストップ音のきれいなこと、あらゆるナチュラルホルンによるベートーヴェのソナタのトップに君臨するものといってよいでしょう。絶賛したいと思います。
中原達彦のホルンとピアノのための「月光のもとで聲を聞く」は委嘱作品で2011年の作品。題名になっている「月光のもとで聲を聞く」というのは彫刻家片山博詞の作品でその彫刻を見ての印象を音楽にしたものです。途中にほら貝に持ち替えての演奏があり、そのほら貝の音のきれいなことに驚きます。ホルン奏者が一度は吹いてみたい衝動にかかられる楽器ですが、ひとつの音のロングトーンにすることでホルンの延長と見ることもできます。ピアノが月光を表現するところもまた聞きどころです。
最後の中原達彦の「ハレルヤ!」もまた彫刻家片山博詞の作品からの印象を音楽にしたものです。小さな女の子の彫刻で、メロディは大変優しいもので童謡調の美しいメロディです。この小品はアンコール作品にはうってつけでしょう。大変親しみやすいメロディで初めて聞いたとは思えないほど懐かしさを感じます。 |
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