日高 剛

ヴァリエーション・フォー・ホルン
CD(dorce FOCD20089)

ヴァリエーション・フォー・ホルン
1.ボザ/山の頂で 
2.F・シュトラウス/夜想曲Op7 
3.ブヤノフスキー/スペイン〜ホルン・ソロの為の
      4つの即興的作品「航海よりの印象」より 
4.クーツィール/ロマンツァOp59−2
5.ヒンデミット/アルトホルン・ソナタ変ホ調
6.マーラー/原光 〜中原達彦編
7.ツェルニー/序奏と協奏的変奏曲Op248
8.津村芳伯/「ひえつき節ラプソディー」 
  日高 剛(ホルン)
  大室晃子(ピアノ)
  録音 2012年6月20&21日
    さいたま芸術劇場
 
 日高 剛は宮崎市生まれ、東京芸大卒業後にオランダへ留学、マーストリヒト音楽院でエーリヒ・ペンツェルとウィル・サンダースに師事。日本フィル、読響を経て2005年にNHK交響楽団に入団。ホルンはエンゲルベルト・シュミットを使用。
 ボザの「山の頂で(頂上にて)」は「森にて」同様ボザの重要なホルン作品ですが、演奏頻度は少なく録音はペーター・ダムがあるくらいです。日高のホルンはドイツのホルンのように美しい響きです。シュミットの滑らかな音が大変印象的です。
 F・シュトラウスの「夜想曲」は大変滑らかな響きで、柔らかさと美しさを持つホルンの響きは日本人のホルン奏者の中でも傑出したものです。待望のノクターンといえましょう。世界のホルン奏者と比肩しうる名演であり低音もきれいです。
 ブヤノフスキーの「スペイン」はホルン・ソロの為の4つの即興的作品「航海よりの印象」の第3曲です。スペインの印象を音にしたもので、フラメンコ風のフレーズも聴かれます。
 クーツィールの「ロマンツァ」は1972年の作品、大変ロマンティックな作品です。録音が少ないのでもっと演奏して欲しい名曲です。
 ヒンデミットのアルトホルン・ソナタはホルンで演奏されます。むしろアルト・ホルンで演奏することの方が珍しいです。曲は大変聞きやすい曲で第2楽章の踊るようなリズムとメロディは印象的です。またこの作品では第4楽章の前に「ポストホルン」と題した演奏者の対話を読むのですが、この録音では雲井雅人訳の日本語版が語られます。まずホルン奏者、次にピアニストによって語られます。
 マーラーの「原光」は「少年の不思議な角笛」の中の1曲で、交響曲第2番にも使われています。ここでは中原達彦の編曲でホルンとピアノで演奏されます。ホルンの響きが穏やかにホール一杯に鳴り渡ります。不思議な世界です。
 ツェルニーの「序奏と協奏的変奏曲」は録音が少なく、この録音はクラーク以来でしょう。ピアノの響きも魅力的なツェルニーの作品の中でも一際輝きのある作品です。変奏曲の素晴らしさを日高のホルンが教えてくれましょう。
 津村芳伯の「ひえつき節ラプソディー」は日本民謡を主題としたラプソディです。「ひえつき節」は日高のふるさと宮崎の民謡です。「庭のさんしゅの木 鳴る鈴かけて 鈴の鳴るときゃ 出ておじゃれよー」と思わず口ずさんでしまうでしょう。
 なお、このアルバムでピアノ伴奏をつとめる大室晃子のピアノが大変素晴らしく、こちらも大変な名演といえます。録音は抜群です。シュミットの音色の魅力と共に録音史に残る名盤として絶賛したいです。


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