グリゴリー・ハスティス

イウェイゼン、ベッケルJr、サーゴン/ホルン協奏曲集
CD(CRYSTAL RECORDS CD773)

ハスティス/ホルン協奏曲集
1.イウェイゼン/ホルンと弦楽のための協奏曲
2.ベッケルJr/ホルン協奏曲「ガラス玉演戯」
3.サーゴン/ホルン協奏曲「クェスティングス」

 グリゴリー・ハスティス(ホルン)
 ポール・クリフォード・フィリップス指揮
  ダラス・フィルハーモニア
 録音 2005年

 エリック・イウェイゼン(1954〜)はアメリカの作曲家です。ホルン協奏曲はハスティスのために作曲されました。勿論この録音が世界初録音になります。曲はホルンと弦楽のためのもので、第1楽章:アレグロ・リソルート、第2楽章:アダージョ・ソステヌート、第3楽章:アレグロ・モルトの3つの楽章で構成され、作風はロマン的で明るい標題音楽風です。アーノルドやシェックのホルン協奏曲のようにアクロバティックです。変わった技法は全く使いません。第1楽章はスリリングで細かいフレーズの連続です。第2楽章は穏やかで牧歌的です。第3楽章は飛び跳ねるようなフレーズに始まる難曲です。しかしながら完成度の高い名曲といえます。
 ジェイムズ・ベッケルJr(1948〜)はアメリカの作曲家でホルン協奏曲は1997年に初演された作品。題名の「グラス・ビード・ゲーム(ガラス玉演戯)」はヘルマン・ヘッセの同名の小説からインスピレーションを受けて書かれたようです。第1楽章:アレグロ・ジュスト、第2楽章:アダージョ、第3楽章:アレグロ・マエストーソの3つの楽章で構成されていて、こちらも標題音楽や映画音楽のように聞きやすい音楽です。主題の美しい第1楽章はピアノ・オブリガートも入る美しい響きになっています。中間部の速いフレーズは木管と掛け合う素晴らしいものです。第2楽章もピアノ・オブリガートが入り牧歌のように朗々と響くホルンがきれいです。第3楽章はホルンの主題が縦横に吹かれ高音から低音まで使うものでこの作品も完成度の高い名作です。これからのホルンのレパートリーに加わることでしょう。他にも録音があります。
 サイモン・サーゴン(1938〜)はアメリカの作曲家でホルン協奏曲は1987年に完成され1991年に初演されています。作品はハスティスに献呈されハスティスによって初演されました。第1楽章:コンチェルタート〜スローリー、第2楽章:パストラール〜アンダンテ・コン・モト、第3楽章:ブルレスク〜フィナーレで構成され、この作品も標題音楽的で現代作品らしいところはありません。こちらもハスティスのためのホルン協奏曲であってこのアルバムの中で風変わりなのは第3楽章でしょう。第2楽章のパストラールは前の2作品同様に牧歌的でホルンの美しい旋律が流れます。第3楽章のブルレスクはショスタコーヴィチのようにスネア・ドラムが入りティンパニと共にパーカッションも活躍します。それだけにホルンの活躍も素晴らしく最後を飾るに相応しい作品です。


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