デニス・ブレイン

モーツァルト/ホルン協奏曲第2番&3番変ホ長調(1953)
CD(SWR classic SWR19066CD-3)

モーツァルト/協奏曲集
1.ピアノ協奏曲第23番イ長調K488
2.ホルン協奏曲第2番変ホ長調K417
3.ホルン協奏曲第3番変ホ長調K447
4.ホルン協奏曲第2番変ホ長調K417

  フリードリヒ・グルダ(ピアノ)(1)
  デニス・ブレイン(ホルン)(2&3)
  ドメニコ・チェッカロッシ(ホルン)(4)
  ハンス・ロスバウト指揮
  バーデン・バーデン南西ドイツ放送交響楽団
   録音 1962年1月15日(1)
       1953年5月6日(2&3)
       1955年12月21日(4)

 このアルバムはハンス・ロスバウト指揮のモーツァルト作品集の中の1枚です。南西ドイツ放送の録音でした。デニス・ブレインの2つのホルン協奏曲は既発売ですがイタリアのホルン奏者ドメニコ・チェッカロッシの2番は初出音源です。
 ピアノ協奏曲第23番はフリードリヒ・グルダのピアノによる演奏です。モーツァルトの演奏では定評のあるグルダのピアノタッチは素晴らしいものです。第1楽章の流麗な演奏、第2楽章の哀愁的な主題の美しさ、第3楽章の力みのない軽やかな演奏は素晴らしいです。
 ホルン協奏曲第2番はデニス・ブレインのホルンです。大変美しい演奏でした。歌い方の素晴らしさ、音色の美しさ、レガートのうまさ、どれをとっても完璧です。完成されたモーツァルトそのものです。第2楽章の天国的な美しさ、ホルンの響きにはうっとりしそうです。第3楽章のロンドの軽やかな演奏、深みのある低音ということありません。絶品の演奏です。
 ホルン協奏曲第3番は第2番と同じ日の演奏です。この演奏では冒頭にホルンで吹かれる「ドーソード」の挿入がありません。珍しいです。しかしながらブレインのきれいなホルンは流麗そのものです。なんという美しさでしょうか。展開部も素晴らしい演奏です。カデンツァはカラヤン盤とほ若干違うものですが実にきれいな演奏です。第2楽章のロマンツェは何とも言えない美しいロマンスです。第3楽章のアレグロはふくよかな響きのホルンが素晴らしい。ブレインのモーツァルトの素晴らしさがこれです。まさに絶品演奏です。
 最後のホルン協奏曲第2番はイタリアのホルン奏者ドメニコ・チェッカロッシの演奏です。チェッカロッシのホルンは音をクレッシェンド気味に「ブオー」と吹く独特の奏法が特徴です。押しの利いたホルンになりますので、ブレインのモーツァルトと比べたら全くの別物です。この比較は面白いです。第1楽章の太い響きのホルンはまさにチェッカロッシのホルンです。第2楽章は流麗な演奏の中にチェッカロッシの味付けがあります。それにしてもいい演奏です。第3楽章のロンドはやや遅めで押しの利いたホルンがチェッカロッシらしいです。チェッカロッシのモーツァルトは70年代に4番がLPで発売されましたが他の作品は入手困難でした。それだけにこの第2番の復活は大変うれしいことです。伝説のホルン奏者の演奏に感激でした。


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