デニス・ブレイン

モーツァルト/ホルン協奏曲全集(1998EMI)
CD(EMI 7243 5 66950 2 3)モノラル

モーツァルト/ホルン協奏曲全集
1.ホルン協奏曲第1番ニ長調K412&514
2.ホルン協奏曲第2番変ホ長調K417
3.ホルン協奏曲第3番変ホ長調K447
4.ホルン協奏曲第4番変ホ長調K495
5.ピアノと木管の為の五重奏曲K452

  デニス・ブレイン(ホルン)(1〜5)
  ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮
    フィルハーモニア管弦楽団(1〜4)
  コリン・ホースリー(ピアノ)(5)
  デニス・ブレイン木管合奏団(5)
   録音 1953年11月12、13&23日(1〜4)
       1954年5月19&23日(5)

 不世出のホルン奏者デニス・ブレインが録音した世界初モーツァルトのホルン協奏曲全集でした。
 デニス・ブレインのモーツァルトは明るく甘いトーンで聴く者をうっとりさせます。このように美しいモーツァルトはありません。ホルンを聴くならやっぱりブレインです。
 ホルン協奏曲第1番はブレインのホルンがとても甘くな柔らかな音で流れてきます。数あるこの協奏曲の中でも極めて美しい響きです。カラヤンの音作りも大変美しい響きですから別格の録音になっています。第2楽章では弦楽のレガート、ホルンの優雅な演奏、なんとも言えない天国的なモーツァルトそのものです。
 ホルン協奏曲第2番は序奏の美しい弦楽、ホルン・ソロの明るい響き、まろやかなホルンの美しさ、ホルンでこのような音が出るとは不思議なほどの素晴らしさがあります。弦楽の透明感、ホルンの安定した音色、ブレインのとりこになります。第2楽章のこの上ないような美しさ、第3楽章のロンドでは丘に駆け上がるような勢いと美しいホルンの響き、低音の素晴らしさ、タンギングの鮮やかなこと、感動ものです。
 ホルン協奏曲第3番はモーツァルトの傑作です。冒頭からブレインのホルンが響きます。ホルンのソロが始まるとまろやかな響きの美しいこと、思わず聞き入ってしまいます。ブレインはこの録音のためにカデンツァを新しく作っていました。その流麗なカデンツァは実に美しい響きです。第2楽章のロマンツェはブレインのホルンの美しさが際立っています。第3楽章のアレグロは軽やかなホルンで、鮮やかなタンギング、そして美しいレガートと絶品の演奏です。
 ホルン協奏曲第4番は序奏から弦楽のレガートの美しさがあります。ホルンのソロは緊張感のある響きで、この作品ならではの表現があります。展開部の美しさ、カデンツァは軽やかで高音が美しい素晴らしいものです。第2楽章のロマンツェはこれもまた素晴らしいブレインのホルンが響きます。うっとり聞きほれてしまいます。第3楽章のロンドはブレイン独特のタンギングの響きが流れます。これぞデニス・ブレインのホルンといえる響きです。
 ピアノと木管の為の五重奏曲はブレインが主宰する木管アンサンブルとコリン・ホースリーによる演奏です。ブレインはアンサンブルをたくさん演奏していました。この作品はもう1つギーゼキングとの録音があります。
 CDは1994年リマスター、1998年発売のオランダ盤です。みずみずしい音が聴かれます。


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