アラン・シヴィル

モーツァルト/ホルン協奏曲全集(1971)(2002PentaTone EU盤)
CD(PentaTone classics PTC5186 105)

モーツァルト/ホルン協奏曲全集
1.ホルン協奏曲第1番ニ長調K412&514
2.ホルン協奏曲第4番変ホ長調K495
3.ロンド変ホ長調K371(シヴィル編)
4.ホルン協奏曲第3番変ホ長調K447
5.ホルン協奏曲第2番変ホ長調K417

  アラン・シヴィル(ホルン)
  サー・ネヴィル・マリナー指揮
    アカデミー室内管弦楽団
   録音 1971年9月13〜17日

 このアルバムはマリナーとの共演、シヴィル3度目のモーツァルト全集録音で42歳のときのものです。
 ホルン協奏曲第1番は速めのテンポの第1楽章は流麗な演奏です。スタッカートも気持ちよく響きます。第2楽章もテンポが速めで気持ちよいホルンが聴かれます。
 ホルン協奏曲第4番は第1楽章のシヴィルのレガートのきれいな演奏が素晴らしいです。ノンビヴラートの美しい響きが流れます。カデンツァはハイトーンから低音まで使う長大なものです。冒頭にブレインと同じ入り方がありますが、あとはシヴィルのものです。見事な演奏が聴かれます。第2楽章のロマンツェはホルンの滑らかで美しい響きが素晴らしいです。第3楽章のロンドは軽快な演奏がきれいです。コーダ前にカデンツァの挿入があります。
 ロンド変ホ長調K371はシヴィルの編曲です。この演奏では展開部に大きなカットがあります。またカデンツァでは低音部での重音奏法を披露しています。そしてコーダでテンポをぐっと落して入っていますが、これは珍しいことです。シヴィルはこの曲にはこだわりがあるのだろうと思います。自分のアレンジは誰にも吹かせていませんでした。
 ホルン協奏曲第3番はマリナーの引き出すオーケストラの響きの良さに聞き入ってしまいそうです。シヴィルのホルンの滑らかな演奏が素晴らしいです。カデンツァは2回目と同じで高音から低音まで滑らかに吹きまくる素晴らしいものです。第2楽章のロマンツェはモーツァルトの作品の中でもとりわけ美しいといってよい主題が流れます。途中にアドリブが入ります。第3楽章のアレグロは滑らかに吹くシヴィルのホルンの音色が楽しめます。今回も最後にアドリブがあります。
 ホルン協奏曲第2番はオーケストラの美しい響きに支えられて滑らかなホルンがモーツァルトを歌います。相変わらずきれいなレガートです。第2楽章の流麗なホルンもまた素晴らしい。第3楽章のロンドは軽快で巧みなホルンが聴かれます。このアルバムはシヴィルのモーツァルトの代表盤といってよいでしょう。


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