アラン・シヴィル

ブリテン/セレナードOp31
CD(EMIEMI 7 69522 2)

ブリテン/声楽作品集 
1.ブリテン/我らの狩をする祖先Op8
2.民謡編曲「イギリスの歌」から
  1)かわいいウィリアム卿
  2)おお悲しい
  3)お前はニューキャッスルの
      生まれではないのか
  4)鋤で耕す少年
  5)美しいモーレイ伯爵
  6)オリヴァー・クロムウェル
3.ブリテン/テノール、ホルンと弦楽のための
        セレナードOp31

  エリザベート・ゼーデルシュトレム(ソプラノ)(1&2)
  リチャード・アームストロング指揮
    ウェールズ・ナショナル・オペラ管弦楽団(1&2)
  アラン・シヴィル(ホルン)(3)
  ロバート・ティアー(テノール)(3)
  サー・ネヴィル・マリナー指揮
      ノーザン・シンフォニア(3)
  録音 1982年6月6&7日(1、2)
      1970年6月18、19&22日(3) 

 このアルバムはブリテンの声楽とオーケストラのための作品集で、ゼーデルシュトレムのソプラノとティアーのテノールとのカップリングです。
 交響的連作「我らの狩をする祖先」はオーケストラ伴奏の歌曲で5つの曲からなり、26分ほどの大曲です。第1曲「プロローグ」は打楽器がにぎやかなオーケストラをバックにソプラノが絶唱する名作、第2曲「ねずみが逃げた」ではティンパニが雷を表しているようです。第3曲「メッサリナ」は穏やかな歌唱が美しいところが聞きどころ、第4曲「死の踊り」ではソプラノが巻き舌で歌うところは圧巻。第5曲「エピローグと葬送行進曲」は悲しみの歌です。
 ブリテンはイギリスやフランスの民謡をオーケストラ伴奏に編曲しています。イギリス民謡は第1集と第3集があり全部で14曲の中から6曲が選ばれゼーデルシュトレムが歌っています。
 シヴィルのセレナードは持ち味のホルンの響きを十分に出し切っています。テノールのティアーは初めての録音でした。1977年にはクレヴェンジャーと共演しています。シヴィルのまろやかなホルンは「プロローグ」からきれいです。第2曲「パストラール」ではティアーの優しい声が響くとシヴィルのホルンが応答するように流れてきます。第3曲「ノクターン」は弦楽の叫びのようなフレーズから始まりテノールの歌唱に応えるように跳躍的なホルンのフレーズが入ります。 ミュート付のホルンが入ります。第4曲「エレジー」はホルンが半音ずつ下がるロングトーンの連続です。ホルンのソロが長いので全曲の中でも聞きどころでしょう。最後にハンドストップから次第に開放していくところもこの曲の魅力的なところです。
 第5曲「ジーグ」はテノールと弦楽が徐々に盛り上げていき最後にホルンがフォルティシモで入る緊張感のある曲。シヴィルのグリッサンドは迫力があります。第6曲「賛歌」は狩りのホルンのような跳躍するホルンが難しい曲です。ここではホルンがほとんど主役になっています。鮮やかなタンギングは聞きもの。第7曲「ソネット」はテノールと弦楽だけのポエム。その間にホルンは無題裏に入り、第8曲「エピローグ」を吹きます。冒頭の「プロローグ」と同じ楽譜を遠くから響くように舞台裏から演奏します。


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