ペーター・ダム
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CD(BERLIN CLASSICS 0300930BC)6枚組
ペーター・ダム名演集
CD1
1.シューマン/4本のホルンと管弦楽のための
コンツェルトシュテュック Op.86
2.R・シュトラウス/ホルン協奏曲第1番変ホ長調
3. 〃 /ホルン協奏曲第2番変ホ長調
4. ウド・ツィンマーマン/ニュー・ディヴェルティメント
ペーター・ダム(ホルン)(1〜4)
ヘルマン・マルケル(ホルン)(1)
ウェルナー・ピルツ(ホルン)(1)
ゲオルグ・ベーネル(ホルン)(1)
フランツ・コンヴィチュニー指揮(1)
ハインツ・レーグナー指揮(2&3)
ウド・ツィンマーマン指揮(4)
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団(1)
ドスデン・シュターツカペレ(2〜4)
録音 1960〜61年(1)
1970年4月3日(2&3)
1989年4月(4)
CD2
1.ベートーヴェン/ホルン・ソナタ ヘ長調 Op17
2.ケーラー/ホルン・ソナタ Op32
3.ロイター/カント・アパッショナート
4. モーツァルト:ホルン五重奏曲変ホ長調 K407
ペーター・ダム(ホルン)
アマデウス・ウェーバージンケ(ピアノ)(1〜3)
ルドルフ・ウルブリヒ(ヴァイオリン)(4)
ヨアヒム・ジンドラー(ヴィオラ)(4)
ヨアヒム・ウルブレヒト(ヴィオラ)(4)
クレメンス・ディルナー(チェロ)(4)
録音 1968年9月(1〜3)
1974年(4)
CD3
1.クレープス/「目覚めよ、と呼ぶ声あり」
による幻想曲
2.フィンガー/ソナタ ト長調
3.ホミリウス/2つのコラール前奏曲
4.ヴィヴィアーニ/ホルン・ソナタ第1番
5.クレープス/神のみ旨が常に実現しますように
6.プーランク/エレジー(ショルツェ編)
7.クロル/ミサ・ムータOp55
8.アラン・ウェーバー/即興曲
ペーター・ダム(ホルン)
ハンスユルゲン・ショルツェ(オルガン)
録音 1980年
CD4
ホルンとピアノのための音楽
1.ジャン・フランセ/ディヴェルティメント
2.サン=サーンス/ロマンスOp67
3.ビュッセル/聖フーベルトの狩り
4.グノー/ピストン・ホルンのための
6つのメロディーより第5番
5.グノー/ピストン・ホルンのための
6つのメロディーより第3番
6.ボザ/山の頂で
7.デュカス/ヴィラネル
8.ダマーズ/パヴァーヌ・ヴァリエ
9.サン=サーンス/ロマンスOp36
10.ポー/伝説
11.ロッシーニ/前奏曲、主題と変奏
ペーター・ダム(ホルン)
ペーター・レーゼル(ピアノ)
録音 1985年9月30日〜10月12日
CD5
ドレスデン宮廷管弦楽団のホルン協奏曲集
1.クヴァンツ/ホルン協奏曲第9番変ホ長調
2.ゼレンカ/2つのホルンの為のカプリッチョ第3番
3.ハイニヒェン/2つのホルンの為の協奏曲
4.テレマン/2つのホルンの為の協奏曲ニ長調
5.ファッシュ/2つのホルンの為の協奏曲ニ長調
ペーター・ダム(ディスカントホルン)
ディータ・パンサ(ディスカントホルン)(2〜5)
エドゥアルト・メルクス指揮
カペラ・サジタリアーナ
録音 1987年10月26〜29日
CD6
1.クルツ/ホルン協奏曲
2.ツィレンシェク/コンツェルトシュテュック ヘ長調
3.ガイスラー/ホルン・ソナタ
ペーター・ダム(ホルン)
ジークフリート・クルツ指揮
ドレスデン・シュターツカペレ(1)
ヘルベルト・ケーゲル指揮
ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団(2)
アマデウス・ウェーバージンケ(ピアノ)(3)
録音 1974〜75年(1)
1985年(2)
1984年(3)
ペーター・ダムがエテルナ・レーベルに録音した数々の録音の集大成です。ほとんどがCD化されていますが、CD2のモーツァルト/ホルン五重奏曲は初CD化、CD6の3曲も初CD化です。
CD1のシューマンは2つの録音の第1回目の録音です。ダムがゲヴァントハウスの首席になって間もないころの録音で、おそらく初めてのステレオ録音です。同じ頃にバルボトゥーらも録音していました。演奏は遅めのテンポですが見事なアンサンブルです。4人のホルン奏者が一糸乱れぬ演奏をしています。
リヒャルト・シュトラウスのホルン協奏曲は初めて聞いたときはどうすればこんな明るい音がでるのかと驚きました。演奏は穏やかですが、テクニックは完璧でした。当時東ドイツには凄いホルン吹きがいるものだと感心しました。
ツィンマーマンのニュー・ディヴェルティメントは1987年に作曲されたホルンと室内楽団のための作品です。ペーター・ダムのために作曲されています。第4楽章ではディスカントホルンを吹いています。?
CD2の録音はベートーヴェンのホルン・ソナタ以外は初CD化です。ベートーヴェンのホルン・ソナタはこの後は録音がありませんので、ダムの唯一の録音になります。少しこもった音ですが70年代からのの明るい音色はすでにこの頃からできあがっていたことがわかります。彼独特の音色で聴くベートーヴェンもまた味わいが深いです。きれいすぎるほどのベートーヴェンです。
ジークフリート・ケーラー(1927〜1984)のホルン・ソナタOp32は「ロッテルダム1940年5月14日」の副題があり、戦時中に爆撃されたときを題材にしたものですが、音楽にはそんなことは感じられません。3つの楽章からなりダム先生の演奏は大変きれいなホルンでピアノの響きもまた迫力があります。
ヴィリ・アルブレヒト・ロイターの「カント・アパッショナート」は1958年の作品。「熱情的な歌」という意味ですが、そのホルンの歌う激しさを感じさせる主題は暗くもあり、なんとも魅力的な作品です。録音は大変珍しく他にはほとんどないと思われます。
モーツァルトのホルン五重奏曲はダムの唯一の録音です。明るくのびやかなホルンがモーツァルトの美しさにぴったりでした。
CD3は1980年録音のホルンとオルガンのための音楽です。 ペーター・ダムの明るくやわらかな彼独特のホルンが教会に響くと、オルガンのようです。ドイツでは古くから演奏されていたのでしょう。バウマンに続く録音でした。ヴィヴィアーニのソナタは来日の時にも演奏しました。プーランクのエレジーはピアノ伴奏の曲ですがオルガンで聞くのもいいものです。
ベルンハルト・クロルとアライン・ウェーバーの作品は現代作品、クレブスとホミリウスの作品はコラール作品です。心が癒されるアルバムです。
CD4は名盤「ホルンとピアノのための音楽」です。サン=サーンスのロマンスは2曲録音されています。ボザの「山の頂で」はこの録音当時ダムの録音くらいしかみあたりませんでした。ボザらしいホルンの主題が流れます。高音域から低音域まで使いながら「頂上」から見る景色を表現したものでしょう。
デュカスの「ヴィラネル」は伸びやかな序奏のホルンが実に素晴らしい響きです。前半のホルンの明るさは絶品です。後半の技巧的な部分は見事です。
ダマーズの「パヴァーヌ・ヴァリエ」は愛らしい主題がたまりません。ホルンでこれほど美しく吹ける人は他にいるのでしょうか。なにげなく聞いていても惹きこまれてしまいます。マルセル・ポー(1901〜1988)の「伝説」は1958年の作品、穏やかな部分と速いフレーズの部分があって魅力的な作品です。ダムが初めて録音していました。
ロッシーニの「前奏曲、主題と変奏」はホルンの定番曲ですが変奏曲の演奏が難しい難曲です。ダムの演奏は「前奏曲」の美しさが聞き所です。主題と変奏の鮮やかな演奏はさすがに見事です。名演は多いですがこのダム先生の演奏もまた文句なしの名演です。
CD5は「ドレスデン宮廷管弦楽団のホルン協奏曲集」です。バロック時代のホルンのための作品です。この時代のホルンはバルブがありませんでしたので、倍音だけで音階の吹ける高域を使った曲が多いわけです。現代ではオクターブの高いディスカントホルンを使えば高域を楽に吹けますので、この曲ではそれを使用しています。それでもダムの音色はやはりダムの音色です。
CD6は初CD化の録音です。LPでは発売されていましたが国内盤はありませんでした。ジークフリート・クルツはドイツの指揮者で作曲家です。このホルン協奏曲はダムのために書かれたものと思われます。3つの楽章で構成されていて明るいホルンが快活に吹かれる第1楽章は楽しそうです。第2楽章のアンダンテは静かなホルン・ソロで始まります。オーケストラのクライマックスのあとにホルン・ソロが流れます。ダムの明るいホルンが素晴らしい響きです。第3楽章のアレグロは速いテンポのホルン・ソロが素晴らしい演奏です。現代作品ながら古典的な響きは親しみやすいです。演奏はかなり難しい楽章です。
ヨハン・ツィレンシェクの「コンツェルトシュテュック ヘ長調」はかなりの現代音楽です。単一楽章ですが冒頭から不協和音が響きます。やがてホルン・ソロが静かに始まります。オーケストラのざわめきとホルン・ソロが交互に演奏されます。中間部ではオーケストラとの協奏があります。後半は演奏がかなり難しそうです。力強いホルンが響きます。
フリッツ・ガイスラーの「ホルン・ソナタ」は2つの楽章で構成されています。ピアノは現代作品らしい響きです。ホルン・ソロは音のとりにくそうな主題が続きます。それにしてもダム先生のホルンの音色は変わりません。第2楽章の楽しそうな雰囲気はなんともいえません。ホルンを聴く楽しみがあります。素晴らしい作品です。 |
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