オーブリー・ブレイン

シューベルト/八重奏曲ヘ長調(1928)
CD(EMI SGR-8209)

シューベルト/八重奏曲ヘ長調Op166、D803
   〜2つのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、
    コントラバス、クラリネット、ホルンと
    ファゴットのための

  レナー弦楽四重奏団
  イエノ・レナー(ヴァイオリン)
  ジョセフ・スミロヴィッツ(ヴァイオリン)
  シャーンドル・ロート(ヴィオラ)
  イムレ・ハルトマン(チェロ)
  クロード・ホブディ(コントラバス)
  チャールズ・ドレイバー(クラリネット)
  オーブリー・ブレイン(ホルン)
  エルネスト・ヒンヒクリフ(ファゴット)
  録音 1928年3月23日

 レナー弦楽四重奏団とオーブリー・ブレインたちによるシューベルトの八重奏曲です。最も古い録音です。
 シューベルトの八重奏曲は演奏に1時間以上もかかる大曲で室内アンサンブルのための交響曲といえます。1824年に書かれており「未完成」と「ザ・グレート」の間になります。シューベルトはホルンを大切にした曲が多いのですが、この曲にも重要なメロディーを吹かせています。
第1楽章は前奏のアダージョからよい響きです。1928年の録音とは思えないほど良い音です。ベースのピツィカートが響きます。続くアレグロでは整然としたアンサンブルが聞かれます。とはいってもこの時代だけにクラリネットのソロに微妙なテンポの揺り動かしがあります。オーブリー・ブレインのホルンでも歌い込みがあります。当然ながら提示部のリピートはありません。展開部ではヴァイオリンのソロにポルタメントを使うなどこの時代らしい演奏が聴かれます。クラリネットと弦楽の響きはきれいです。この楽章では同じ音型が楽器を変えて幾度も繰り返されます。再現部はファゴットに始まって主題が各楽器に受け継がれながらオーブリーのホルンが高らかに歌われて終わります。第2楽章:アダージョはクラリネットで始まる穏やかな雰囲気が大変きれいです。続くレナーのヴァイオリンとの絡みもよい響きです。ポルタメントがきいています。弦楽四重奏の響きがまた素晴らしいです。木管のユニゾーンがよい響きです。中間部ではホルンのソロが歌われますが、ヴァイオリンとの対話もまたよい響きです。弦楽とファゴットの響きもきれいです。コーダのコントラバスのピツィカートは驚くほどよく響きます。
 第3楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェは快活なスケルツォです。レナーのリードするアンサンブルは見事な演奏をしています。ドレイバーのクラリネットがよく響きます。ホルンの高音もよく響きます。ファゴットもよい響きを出しています。トリオと終結部は省略しています。第4楽章:アンダンテは主題と7つの変奏曲、シューベルトの歌劇「サラマンカの友人」から使われた主題に始まります。クラリネットとヴァイオリンがあまい響きで演奏しています。第1変奏のファゴットとホルンの絡みがきれいです。第2変奏は木管と弦楽が良い響きを出しています。第3変奏はオーブリーのホルンが大変素晴らしい響きです。ヴァイオリンもきれいに響きます。リピートはありません。続くチェロの第4変奏もまた良い響きを出しています。木管とホルンもきれいです。第5変奏は勢いがあります。ヴィオラがよく響きます。第6変奏はクラリネットと弦楽が素晴らしい響きです。第7変奏は弦楽の響きに力が入っています。
 第5楽章:メヌエットはこの曲の中でも最も美しいといえる楽章です。クラリネットの美しい主題が歌われ弦楽器、ホルンに受け継がれていきます。オーブリーのホルンはよい響きです。クラリネット、ファゴット、弦楽器のユニゾーンの美しい響きもあって、優雅なメヌエットです。第6楽章:アンダンテ・モルト〜アレグロはシューベルトの音楽の美しさがあります。劇的な響きの前奏は緊張感のある見事な演奏です。続くアレグロは見事な演奏です。テンポは速めで細かいフレーズの演奏が素晴らしいです。まさに小さなオーケストラのようで素晴らしいアンサンブルです。レナー弦楽四重奏団が密度の濃い演奏をしています。一部に省略がありますが、絶賛したい名演奏です。
演奏時間46分41秒


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