シュテファン・ドール

シューマン/4つのホルンのためのコンツェルトシュテュック(2012)
CD(RCA 88843 05854 2)

パーヴォ・ヤルヴィ/シューマン作品集
1.序曲、スケルツォとフィナーレOp52
2.4つのホルンのための
   コンツェルトシュテュック ヘ長調Op86
3.交響曲第4番ニ短調Op120

  シュテファン・ドール(ホルン)(2)
  エルケ・シュルツェ・ヘッケルマン(ホルン)(2)
  フォルカー・グレーヴェル(ホルン)(2)
  トマス・ゾンネン(ホルン)(2)
  パーヴォ・ヤルヴィ指揮
  ドイツ・カンマー・フィルハーモニー管弦楽団
  録音 2012年1月30&31日(1)
      2012年12月20〜22日(2)
      2011年12月19〜21日(3)

 パーヴォ・ヤルヴィのシューマン・チクルスの第3弾には交響曲第4番と、序曲、スケルツォとフィナーレ、そして4つのホルンのためのコンツェルトシュテュックが収録されています。
 「序曲、スケルツォとフィナーレ」は1840年の作品。交響曲第1番「春」や交響曲第4番の初稿を作曲した当時に書かれた3楽章の交響曲ともいえる作品。交響曲全集には度々セットされていました。ヤルヴィの指揮棒から引き出される洗練された響きはシューマン本来の響きといってよいでしょう。スケルツォの演奏が大変新鮮に聞こえます。
 4つのホルンのためのコンツェルトシュテュックは1849年の作品で、バルヴ付きのホルンが発明されてから作曲されていますのでかなりの難曲です。ホルンを吹いているのはベルリン・フィル首席のシュテファン・ドール、ドイツ・カンマーフィル首席のヘッケルマン、ボン・ベートーヴェンのグレーヴェル、フランクフルト放送響首席のゾンネンの4人でドイツのオーケストラの名手の共演です。ドールは1998年以来の2度目で初のスタジオ録音です。この4人の演奏は大変素晴らしい響きで息のピッタリ合った名演です。第1楽章から驚くほどのアンサンブルでこの4人はいつもカルテットを演奏しているのではないかと思えるほどです。かつてのベルリン・フィル・ホルンカルテットのようです。ヤルヴィの指揮はメリハリをつけたダイナミックな演奏です。録音の良さ、ホールトーンの良さ、オーケストラの響きとすべてが揃った文句なしの名演です。第3楽章の勢いのある演奏はスリリングです。
 交響曲第4番ニ短調Op120は1951年の改訂版で通常演奏される楽譜を使用しています。ヤルヴィの演奏は実に流麗で管楽器の響きの良さ、弦楽の緻密な演奏と20世紀の名演奏と並ぶものです。この第4番の交響曲はメンデルスゾーンの第3番「スコットランド」と同様に楽章間の休みをとらないで続けて演奏されます。第2楽章にヴァイオリンのソロが入るのも特徴です。スケルツォの華やかな雰囲気と調和のとれた響きが素晴らしい。フィナーレの演奏もきれい過ぎるほどの素晴らしさがあります。ホルン・セクションの響きのよさは特筆ものです。
 このアルバムはどの曲を聴いても感動をさそうものです。絶賛したい名盤です。


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