クリストフ・エス

モーツァルト/ホルン協奏曲全集(2017)
CD(GENUIN GEN18618)

モーツァルト/ホルン協奏曲全集
1.ホルン協奏曲第2番変ホ長調K417
2.ホルン協奏曲第4番変ホ長調K495
3.ホルン協奏曲第3番変ホ長調K447
4.ホルン協奏曲第1番ニ長調K412&514
5.マドセン/旅のお誘い
  〜モーツァルトと4人のホルン奏者と伴に

  クリストフ・エス(ホルン)(1〜5)
  ゼバスティアン・ショル(ホルン)(5)
  シュテファン・ショットシュテット(ホルン)(5)
  ティモ・シュタイニンガー(ホルン)(5)
  ヨハネス・クルンプ指揮
  エッセン・フォルクヴァング室内管弦楽団
  録音2017年9月15〜17日ライヴ(1〜4)
     2018年5月11〜13日)(5)

 ジャーマン・ホルンサウンドのクリストフ・エスがモーツァルトのホルン協奏曲全集を録音しました。いずれもライヴ録音です。
 ホルン協奏曲第2番は滑らかなホルンで始まります。エスのホルンは明るく良い響きです。装飾音のかけ方が短いので面白いです。なおこの第2番の第1楽章にはコーダ前にカデンツァを入れています。このカデンツァはミヒャエル・ヘルツェルが書いたものです。ヘルツェルはカデンツァのないこの第2番にカデンツァが欲しいと思っていたようです。第2楽章はアンダンテ、この楽章でエスは主題に装飾音やアドリブを入れていますのでまったく印象の違うものになっています。第3楽章のロンドは軽やかなホルンです。ここでも短いカデンツァを挿入しています。時折装飾音を入れて楽しそうな演奏です。コーダの間の取り方は絶妙なです。
 ホルン協奏曲第4番は滑らかなホルンが気持ちよく聴かれます。エスは装飾音を入れて演奏していますので伝統的な演奏から抜け出そうとしているのでしょう。再現部の装飾音も独特です。カデンツァはここでもヘルツェルの書いたものを演奏しています。長大なカデンツァで素晴らしい演奏です。第2楽章のロマンツェは大変きれいなロマンスです。中間部も朗々としたホルンが素晴らしい演奏です。第3楽章のロンドは軽快な演奏です。中にトリルを入れたりアドリブが見られます。コーダ前にカデンツァが入りますが、ここでオーケストラのロングトーンが入るのは珍しいです。良い演奏です。
 ホルン協奏曲第3番は軽やかなホルンで流麗な演奏です。装飾音が短めなのはここも同じです。展開部のロマンティックな演奏が素晴らしいです。カデンツァはここでもヘルツェルの書いたものを演奏しています。主題を使う長大なカデンツァでこれもまた素晴らしい演奏です。第2楽章のロマンツェはやや速めの演奏です。ホルンをよく響かせた見事な演奏です。第3楽章のアレグロは軽快そのものです。アドリブなしの見事な演奏でした。
 ホルン協奏曲第1番はロンド楽章を2つ演奏しています。第1楽章は大変滑らかな演奏です。レガートの巧みな演奏で素晴らしいい響きです。第2楽章のロンドはまずロバート・レヴィンの補筆完成版が演奏されます。大変軽やかなホルンで気持ちよい演奏です。短いカデンツァが入ります。2つ目のロンドは従来のジェスマイアー版です。こちらも軽やかなホルンで素晴らしい演奏です。時折装飾音が入っています。最後にバボラークと同じようにアドリブが入ります。
 トリグヴェ・マドセンの「旅のお誘い〜モーツァルトと4人のホルン奏者と伴に」はホルン四重奏曲です。2017年の作品で4つの楽章で構成されモーツァルトの4つのホルン協奏曲がテーマになっています。第1楽章は前奏曲があって「始まり、始まり!」のように聞こえます。アンダンテ・コン・モトに入るとホルン協奏曲第1番の主題が流れてきます。マドセンのオリジナル間奏があってまた第1番の主題が流れます。第2楽章はメヌエット、アレグロ・モデラートでホルン協奏曲第2番の第2楽章で始まります。4本のホルン・アンサンブルが素晴らしい響きです。後半はマドセンのオリジナル間奏があってまた第2番の主題が演奏されます。第3楽章はロマンツェ、アンダンテ・コン・モト、ホルン協奏曲第3番のロマンツェで始まります。楽しそうなホルン四重奏です。マドセンのオリジナル間奏があってまた第3番のロマンツェが歌われます。第4楽章はロンド、アレグロでホルン協奏曲第4番のロンドで始まり、第2番のロンドが入り、第3番の第3楽章の主題まで入ります。そして第1番のロンド主題まで入ってきます。モーツァルトのホルン協奏曲オンパレードです。最後にマドセンのオリジナルで終わっています。面白い作品です。


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