クリストフ・エス

シューマン/4本のホルンのためのコンツェルトシュテュック、他(2014)
CD(GENUIN GEN15370)

4本のホルンのための協奏曲集
1.L・モーツァルト/狩のシンフォニア ト長調
2.シューマン/4本のホルンのための
    コンツェルトシュテュック ヘ長調Op86
3.マドセン/4本のホルンと管弦楽のための
          協奏交響曲Op153

  ジャーマン・ホルン・サウンド
  クリストフ・エス(ホルン)
  ゼバスティアン・ショル(ホルン)
  シュテファン・ショットシュテット(ホルン)
  ティモ・シュタイニンガー(ホルン)
  ミヒャエル・ザンデルリンク指揮
   バンベルク交響楽団
   録音2014年12月16日(1)
      2014年12月12〜14日(2)
      2014年12月15日(3)

 ジャーマン・ホルン・サウンドの4人のホルン奏者がシューマンのコンツェルトシュテュックを録音しました。このアルバムにはレオポルド・モーツァルトの「狩のシンフォニア」とマドセンの新作も収録されています。
 レオポルド・モーツァルトの「狩のシンフォニア」は古くから馴染みのある作品で4本のホルンが大活躍する作品として頻繁の演奏され多くの録音があります。ここでは第1楽章で狩の場面の銃声が響きます。生々しい音がこの演奏に輝きを与えています。4本のホルンは時には猟犬の鳴き声にも聞こえますので、レオポルドがホルンを4本にした理由が見えてきます。第2楽章のエコー(こだま)の効果もなかなかの聞き物です。メヌエットは速めのテンポでホルンが素晴らしい響きを出しています。
 シューマンの「4本のホルンのためのコンツェルトシュテュック」は4人のホルン奏者が仲良く追いかけっこするような作品ですが、演奏するほうは大変な難曲です。この演奏ではオーケストラの響きが大きいのでそれだけにソリストたちの力量が試されます。この4人のホルン奏者たちは所属のオーケストラが違うだけにてアンサンブルの合ったときの素晴らしさは絶品です。第1楽章の息のあった演奏は最近でもなかなか聞けそうもないもので完璧です。第2楽章の優雅な響きも絶品です。こちらは4本のホルンの美しい響きが聞き物です。第3楽章の演奏も見事なものでトップのクリストフ・エスのホルンが大変流麗でなおかつ安定した音色でこれほど完璧に吹いた例も珍しいでしょう。ハイAの響きがきれい過ぎます。この演奏ではティンパニの響きも力強く、深みのある演奏になりました。
 トリグヴェ・マドセン(1940〜)はホルン作品をいくつか作曲していますが、ホルン・ソナタやホルン協奏曲などはクリストフ・エスがすでに録音していました。この4本のホルンのためのシンフォニア・コンチェルタンテは2013年の作品です。作風はロマン派作品と同様に古典的で、第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アレグロ・モデラート」で構成され演奏時間20分近い大曲です。第1楽章は4本のホルンが朗々と響く明るく美しいもので、パーカッションにも特徴的な音が響きます。ホルンのソロもあり抒情的な音楽でもあります。第2楽章でもホルン・ソロがきれいです。この作品はコンチェルトではなくシンフォニア・コンチェルタンテ(協奏交響曲)ということでよくわかりますが、オーケストラがよくできていることにも注目です。第3楽章はシンフォニーの美しさとホルン・アンサンブルが融合したような名作です。21世紀の作品でありながら19世紀の作品のように美しい音楽です。名曲名演奏です。


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