日高 剛

ザ・ホルン・カルテット/ティペット/4本のホルンのためのソナタ、他
CD(Con Anima CONR 16-001)

スパークリング・ホルンズ
1.R・シュトラウス/3つのホルン四重奏曲
    1)戸口で
    2)夢の中の光
    3)五月の喜び
2.ティペット/4本のホルンのためのソナタ
3.ボウエン/2つのホルン四重奏曲
4.フランセ/夜想曲とディヴェルティメント
5.ピルヒナー/ボーン・フォー・ホルン

  ザ・ホルン・カルテット
  安土 真弓(ホルン)(名古屋フィル首席)
  岸上 穣 (ホルン)(東京都響団員)
  日高 剛 (ホルン)(東京芸大准教授)
  五十畑 勉(ホルン)(東京都響団員)
  録音 2015年10月19〜22日
     稲城市立iプラザホール

 2014年に結成された、その名も「ザ・ホルン・カルテット」は愛称「ザホル」と呼ぶそうです。その「ザホル」のデビュー・アルバムです。最強のホルン日高剛と名古屋フィル首席の安土真弓のコンビに都響の五十畑勉と岸上穣が加わったカルテットは日本のホルン・アンサンブルの中に新たに加わって、新たなレパートリーを発掘してくれることでしょう。
  リヒャルト・シュトラウスの3つのホルン四重奏曲は「無伴奏男声合唱のための3つの合唱曲」からの編曲です。静かに始まる第1曲、穏やかな雰囲気の第2曲、そして明るく喜びに満ちた第3曲と続きます。
  マイケル・ティペットの「4本のホルンのためのソナタ」はデニス・ブレインがヒンデミットの4本のホルンのためのソナタを演奏する時に、もうひとつのプログラムが欲しくて作曲を依頼したようです。大変演奏が難しく、録音は多くありません。ザホルの演奏は驚きの演奏で第1楽章の掛け合いの見事な演奏には圧倒されます。第2楽章:アレグロ・ジョコーソの快活な演奏も素晴らしい。速いテンポでアンサンブルの調和が難しそうです。第3楽章:レント・カンタービレ・・・は不協和音をよく響かせるところが絶妙、第1楽章冒頭の動機が見え隠れします。第4楽章はこの作品でも最も難しいフレーズの連続ではないかと思われますが、実に素晴らしい響きです。
  ヨーク・ボウエン(1884〜1961)はイギリスの作曲家でブレイン父子にホルン作品を書いていました。2つのホルン四重奏曲は第1曲「ラルゲット」、第2曲「アレグロ・モルト」の2つの小品で構成されます。録音がほかにほとんど見られませんので録音に感謝です。
  ジャン・フランセはフランスの作曲家で「ホルンとピアノのためのディヴェルティメント」が有名です。「夜想曲とディヴェルティメント」はホルン四重奏のための作品で夜想曲(アダージョ)とディヴェルティメント(アレグロ・モデラート)で構成されています。これも見事な演奏です。
  ヴェルナー・ピルヒナーの「ボーン・フォー・ホルン」は6つの小品の組曲です。1990年のホルン・カルテット・コンクールのために作曲されています。第2曲「イプシロン」に奇声が聞こえてきますので面白いです。第3曲ではフラッター・タンギングが使われます。第6曲にはシュトラウスの「ティル」の動機が入ります。演奏は大変緻密なアンサンブルを要求されます。
  このアルバムは聞けば聞くほどその凄さとホルンの素晴らしさを感じさせるものです。何度聞いても飽きません。絶賛したいと思います。


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