ティモシー・ブラウン

シューベルト/流れの上で
CD(EMI TOCE-55400)

シューベルト/ピアノ・ソナタ&4つの歌曲
 1.ピアノ・ソナタ第20番イ長調D.959
 2.巡礼の歌D.789
 3.不幸な男D.713b
 4.流れの上でD.943
 5.星D.939

  レイフ・オヴェ・アンスネス(ピアノ)(1〜5)
  イアン・ボストリッジ(テノール)(2〜5)
  ティモシー・ブラウン(ホルン)(4)  
   録音2001年8月13〜17日

  レイフ・オヴェ・アンスネスは1970年生まれのノルウェーのピアニスト。リソルの室内楽音楽祭の音楽監督をつとめており、共演したボストリッジとこのアルバムを録音することになりました。ピアノ・ソナタと歌曲集というカップリングは珍しいですが、歌曲の伴奏としてのシューベルトのピアノはピアノ作品としても優れていますので、ピアノ・ソナタと歌曲が一緒のコンサートでもおかしくないでしょう。
  ピアノ・ソナタ第20番は最晩年の3つのソナタの中の1曲、4つの楽章で構成され、ピアノによるシンフォニーともいえそうな傑作です。
  イアン・ボストリッジはイギリスのテノール歌手でシューベルトの歌曲集の録音もあり、この共演は素晴らしい演奏になりました。「巡礼の歌」と「不幸な男」はボストリッジのやさしさあふれる歌唱で聞く者に感動を与えてくれましょう。またこの作品のピアノパートの魅力的な響きも聞き逃せないでしょう。2曲とも6分ほどの演奏時間を要します。
  「流れの上で」はホルン・オブリガート付の名曲です。8分ほどの長大な曲でホルンの美しさもまたシューベルトの作品の中でも極めて優れた作品です。この演奏はやや速めのテンポです。ホルンのティモシー・ブラウンはソリストとしても優れたホルン奏者ですが、この演奏では個性を発揮してテノールと対等の歌い手として吹いています。ピアノのアクセントも特徴的でこの作品の演奏の中でも異色ともいえそうですが素晴らしい名演です。
  最後の「星」はこちらも「流れの上で」と同様最晩年の1828年の作品です。3分ほどの作品ですが歌唱、ピアノパートともにシューベルトの魅力を感じさせる1曲です。「星はなんと明るく輝いていうことか」というライトナーの詩を読むと日本語で聞いてみたくなります。


トップへ
戻る
前へ
次へ