ローウェル・グリーア

ブラームス/ホルン三重奏曲/ベートーヴェン&クルフト/ホルン・ソナタ
CD(ハルモニアムンディ HMU907037)

1.ブラームス/ホルン三重奏曲変ホ長調Op40
2.ベートーヴェン/ホルン・ソナタ ヘ長調Op17
3.クルフト/ホルン・ソナタ ホ長調

  ローウェル・グリーア(ナチュラルホルン)(1〜3)
  ステファニー・チェイス(ヴァイオリン)(1)
  スティーヴン・ルービン(フォルテピアノ)(1〜3)
   録音 1990年12月3〜6日  

  これはナチュラルホルンによる初めてのブラームスのトリオでした。本来ブラームスはナチュラルホルンのためにこの曲を作曲しましたのでナチュラルホルンで演奏した録音を聞きたかったのですが、これがなかなか録音されなくて聞けませんでした。それだけにこれが1992年に発売されてびっくりでした。しかも違和感のない演奏です。グリーアはハンドストップが巧みであり、閉止音がそれほど暗くならないところで止めていますから、実に音色が明るいのです。
 ブラームスの「ホルン三重奏曲」は第1楽章冒頭から柔らかな響きのホルンで流麗な演奏です。ルービンのフォルテピアノは良い響きで目立ち過ぎず良いアンサンブルになっています。第2楽章のスケルツォはホルン、ヴァイオリンとピアノが調和のとれた良い響きになっています。フォルテピアノの独特の響きも聴きものです。ホルンは速いテンポで見事な演奏です。第3楽章のアダージョ・メストはステファニー・チェイスのヴァイオリンとグリーアのナチュラルホルンが良い響きを作り出しています。中間部の掛け合いなど素晴らしいです。第4楽章のアレグロ・コン・ブリオは速いテンポで演奏しています。ナチュラルホルンでは難しいと思われますが、流麗な演奏です。ルービンのフォルテピアノと共に良い響きです。
  ベートーヴェンの「ホルン・ソナタ」はナチュラルホルンとフォルテピアノによる演奏です。ヘ長調のホルンの響きは明るいです。第1楽章のピアノはかなりおとなしい響きです。ホルンによく合います。グリーアのナチュラルホルンは実に見事なハンドさばきで暗くないストップ音が聴かれます。展開部はストップ音が多いですがうまくさばいています。第2楽章から第3楽章の演奏は流麗な演奏です。第3楽章のロンドはナチュラルホルンではかなりの難曲と思われますが、難なく演奏しています。コーダ前に短いカデンツァまで入れています。
 クルフトの「ホルン・ソナタ」は第1楽章冒頭のフォルテピアノの快い響きと共にホルンが入ってきます。ベートーヴェンとは異なる作風にうっとりです。美しい作品です。ホルンの響きもきれいです。第2楽章のアンダンテ・エスプレシーヴォはホルンの主題が哀愁的です。ホルンの響きが自然で大変きれいです。第3楽章のロンドは「アラ・ポラッカ」です。ポロネーズ風の主題を軽快に演奏しています。楽しそうです。これは大変よいアルバムです。


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