安土 真弓

ザ・ホルン・デュオ/シュラー/無伴奏ホルンのための二重奏曲、他
CD(ALM RECORDS ALCD-3128)

ザ・ホルン・デュオ
1.O.フランツ/2本のホルンとピアノのための
                    小協奏曲
2.シュラー/無伴奏ホルンのための二重奏曲
3.F.シュトラウス/序奏とポロネーズ
             (編曲:小林健太郎)
4.プント(シュティヒ)/8つのホルン二重奏曲
5.ヘンデル/幸福な私たち!
 〜「エイシスとガラテア」より(編曲:小林健太郎)
6.ドリーブ/花の二重唱〜「ラクメ」より
            (編曲:小林健太郎)
7.ブラームス/「愛の歌」より(編曲:小林健太郎)
  ああ、女/赤い、美しい夕映えのように/
    可愛らしい小鳥/波の反映を見てごらん
8.フォーレ/2つのデュエット(編曲:小林健太郎)
   この地上ではどんな魂も/タランテラ
9.ヴェルディ/神よ、あなたは我々の胸に
   〜「ドン・カルロ」より(編曲:小林健太郎)
10.ビゼー/神殿の奥深く〜「真珠採り」より
              (編曲:小林健太郎)
11.カリヴォダ/2本のホルンとピアノのための
           ディヴェルティメント
12.モーツァルト/ホルン協奏曲第4番K495より
        第3楽章(編曲:ティナ・ブレイン)

 安土 真弓(ホルン)(名古屋フィル首席)
 五十畑 勉(ホルン)(東京都響団員)
 斎藤 龍(ピアノ)(1、3、5〜11)
 録音 2022年2月1〜3日
 東京、東大和市民会館ハミングホール

 ザ・ホルンカルテットのメンバー、安土 真弓と五十畑 勉によるホルン・デュオです。
 オスカー・フランツの「2本のホルンとピアノのための小協奏曲」は冒頭から2本のホルンの美しい和音による主題が歌われます。素晴らしい演奏です。録音の少ない作品ですが、これはもっと録音されていいと思います。美しいホルン・デュオです。
 ガンサー・シュラーの「無伴奏ホルンのための二重奏曲」は4つの楽章で構成されています。第1楽章「モルト・レント」、第2楽章「ヴィヴァーチェ」、第3楽章「アンダンテ・モデラート」、第4楽章「アレグロ・ヴォランテ」になります。ホルン奏者でもあるシュラーの作品はホルンの魅力を教えてくれます。ホルン・デュオの良い響きを引き出す作品です。第3楽章の穏やかな主題は素晴らしい響きです。第4楽章の細やかな主題はスラーの演奏が難しいものです。これは名演です。
 フランツ・シュトラウスの「序奏とポロネーズ」は小林健太郎の編曲です。序奏の2本のホルンの美しさ、そしてポロネーズではご機嫌な歌が2本のホルンで歌われます。ソロの部分もあってここは素晴らしい響きです。
 ジョヴァンニ・プント(ヴァツラフ・シュティヒ)の「8つのホルン二重奏曲」はオリジナルの無伴奏ホルン・デュオ」です。第1曲「アレグロ」、第2曲「アダージョ」、第3曲「メヌエット」、第4曲「アダージョ」、第5曲「アレグロ」、第6曲「アレグレット」、第7曲「アレグロ」、第8曲「アレグレット」の8つの小品です。ベートーヴェンにホルン・ソナタを書いていただいたプント(シュティヒ」はホルン協奏曲をたくさん書いていましたが、このデュオもまた美しい作品です。安土真弓と五十畑勉の息の合ったホルンの素晴らしい演奏が聴かれます。
 ヘンデルの「幸福な私たち!」は歌劇「エイシスとガラテア」の「喜びの二重唱:幸福な私たち」を小林健太郎が編曲したものです。2本のホルンで歌う喜びの二重奏は楽しそうです。素晴らしい演奏です。
 レオ・ドリーブの「花の二重唱」は〜歌劇「ラクメ」の1曲を小林健太郎が編曲したものです。この二重唱は聴いたことのありそうな歌で、この美しい二重唱をホルンの二重奏で歌うとまた良いものです。息もピッタリです。感動の演奏です。
 ブラームスの「愛の歌(18のワルツ集)Op52」は4重唱の歌曲集ですがここの中から4曲を小林健太郎が編曲したものです。 第3曲「ああ、女」第4曲「赤い、美しい夕映えのように」第6曲「可愛らしい小鳥」、第14曲「波の反映を見てごらん」の4曲です。ホルン・デュオでは珍しいですが、第6曲の「可愛らしい小鳥」はホルン・デュオで聴くときれいなものです。
 フォーレの「2つのデュエット」はソプラノ二重唱曲です。これを小林健太郎が編曲しました。第1曲「この地上ではどんな魂も」、第2曲「タランテラ」の2曲です。哀愁的な第1曲の美しさ、勢いのある第2曲「タランテラ」と演奏は楽しそうです。見事なホルン・デュオです。
 ヴェルディの「神よ、あなたは我々の胸に」は歌劇「ドン・カルロ」の中の二重唱アリアを小林健太郎が編曲したものです。ホルン・デュオにはぴったりの曲です。きれいな演奏です。
 ビゼーの「神殿の奥深く」は歌劇「真珠採り」の中のテノールとバリトンの二重唱アリアです。これを小林健太郎が編曲したものです。五十畑が演奏したかったという曲ですから、見事な演奏です。ホルン・デュオの良い響きが聴かれます。
 カリヴォダの「2本のホルンとピアノのためのディヴェルティメント」はオリジナル作品です。力強いピアノに始まり、2本のホルンが優雅に主題を歌います。ホルンのための作品ですから、これはいうことなしの素晴らしいホルン・デュオです。途中から素晴らしいホルン二重奏の響きになります。12分近い演奏時間の作品ですから聴きごたえがあります。このアルバムの中でも重要な作品です。ホルン・デュオの魅力を感じます。
 モーツァルトの名曲「ホルン協奏曲第4番」の第3楽章はティナ・ブレインが2つのホルンのために編曲したものです。お互いにソロと伴奏を吹き合うかのような見事な編曲です。どちらを演奏しても難しい作品ですから、聴いても興奮しそうです。これは最後を飾る素晴らしいホルン・デュオの作品です。新しいモーツァルトのホルン作品といって良いでしょう。
 この安土 真弓と五十畑 勉のホルン・デュオは絶賛したいアルバムです。何度も聴きたくなります。


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